修景護岸

修景護岸についての詳細

修景護岸（しゅうけいごがん）は、その名の通り、主に美観を重視して設計された護岸のことです。この護岸は、デザインや使用する素材にこだわりを持ち、単に機能性だけでなく、周辺環境との調和も考えられています。修景護岸は、いくつかの種類に分類され、それぞれ特有の特徴を持っています。

自然石護岸

自然石護岸は、自然に存在する石を使用して作られた護岸です。これには練張り（ねりばり）や空張り（からばり）などの技法が用いられます。特に観光地や歴史的名所で多く見られるこのスタイルは、地域の意匠や雰囲気を反映します。例えば、京都の桂川や福井県の水無谷川、善通寺の弘田川、岡山県の山王川、広島県の太田川などがその事例として挙げられます。また、城崎温泉を流れる大谿川では、地元で採れる黒色の玄武岩をブロック状に加工して、非常に美しい護岸が形成されています。

カラーブロック護岸

カラーブロック護岸は、カラーコンクリートを使ったブロックを用いて作られた護岸です。この護岸の特徴は、その色合いや模様によって地域の特性を表現できる点にあります。特に印象的なのは、コンクリートの表面にタイルや陶片を取り入れて装飾することがある点です。愛知県の土岐川や庄内川では、このカラーブロックが採用されています。

法枠ブロック護岸

法枠ブロック護岸は、外枠のみで構成されたブロックを使用し、中間部分に自然石や玉石を盛り込む形で作られます。このデザインは、景観に自然の要素を取り入れることができるため、視覚的にも魅力的です。山梨県の滝沢川や愛知県の矢作川が代表的な事例です。

木杭詰石護岸

木杭詰石護岸は、木製の杭を使って壁を構築し、その内側に石を詰めて作る護岸です。この構造は伝統的な技術であり、特に利根川で見ることができます。木材と石の自然素材を使うことで、周囲の景観に溶け込みやすくなっています。

修景護岸の設計においては、地域ごとの特性や自然環境を尊重することが大切です。また、美しい景観を創造することで、人々が自然とのふれあいを楽しむための環境が整えられ、地域の魅力を引き立てることにも寄与しています。護岸には様々な機能がありますが、修景護岸においては、特にその美しさや地域性が重要なポイントといえるでしょう。

参考文献

• - 亀山 章・樋渡達也『水辺のリハビリテーション―現代水辺デザイン論』ソフトサイエンス社、1993年、ISBN 978-4881710494
• - 土木学会編集『水辺の景観設計』技報堂出版、1988年、ISBN 978-4765514859

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