修羅王政勝

修羅王 政勝

修羅王 政勝（しゅらおう まさかつ）は、昭和中期に活躍した元大相撲力士です。本名を江戸 政勝（えど まさかつ）といい、1949年7月15日に東京都西多摩郡奥多摩町で生まれました。没年は不明です。所属は二子山部屋で、身長187cm、体重175kgという堂々たる体格を誇りました。最高位は東十両4枚目でした。

土俵人生

江戸（後の修羅王）の相撲人生は、1963年5月場所に初土俵を踏んだことから始まりました。入門からおよそ8年の下積みを経て、1971年3月場所に新十両を果たします。その後、十両の地位に定着し、幕内昇進を目指しましたが、最高位は東十両4枚目に留まりました。十両在位は合計10場所を数えます。そして、1975年5月場所を最後に土俵を去り、力士としてのキャリアを終えました。

成績と記録

修羅王の通算成績は、現役在位73場所で282勝266敗29休、勝率は.515でした。十両では58勝65敗27休、勝率は.472という成績を残しています。また、各段優勝の経験もあり、幕下で2回、三段目で1回、合計3回の優勝を飾っています。

• - 幕下優勝：2回（1971年1月場所、1972年1月場所）
• - 三段目優勝：1回（1967年1月場所）

特に1967年1月場所での三段目優勝は、故郷の奥多摩町長を表敬訪問するきっかけとなり、当時の地元紙でも報じられるなど、地域でも注目された出来事でした。

改名遍歴

本名の「江戸 政勝」で土俵に上がった後、いくつかの四股名を名乗りました。その変遷は以下の通りです。

1. 江戸 政勝（えど まさかつ）: 1963年5月場所から1970年7月場所まで、初土俵から約7年間本名で相撲を取りました。
2. 修羅王 政勝（しゅらおう まさかつ）: 1970年9月場所から1973年1月場所まで、初めて「修羅王」の四股名を名乗りました。この四股名が最もよく知られています。
3. 修羅王 道心（しゅらおう どうしん）: 1973年3月場所から1974年9月場所まで、下の名を改めました。
4. 江戸（えど）: 1974年11月場所から1975年5月場所の廃業まで、再び本名に戻しました。名字のみの四股名です。

人物像と逸話

修羅王は、その巨体とは対照的に、どこか飾らない、人間味あふれる人物であったようです。関取時代の睡眠時間は毎日7時間程度と規則正しかった一方で、寝る際はテレビをつけっぱなしにしていたという生活習慣も伝えられています。

性格について語られる興味深いエピソードがあります。1973年9月場所中に開かれた二子山部屋の座談会で、自身の長所を問われた際、「いいところないもん」と自嘲気味に答えたといいます。この発言に対し、同席していた兄弟子であった二子岳も「あまり、ないな（笑）」と同調したと伝わります。しかし、同部屋の若獅子は、修羅王を「純心」な人物だと評しており、こうしたやり取りからも、彼の控えめで謙遜する人柄が垣間見えます。

また、二子山部屋では早食いかつ大食漢として知られていたそうです。相撲部屋ならではのエピソードですが、食べっぷりの良さが伺えます。

一方で、その大きな体格ゆえの課題もありました。同部屋の横綱であった貴ノ花は、修羅王について、体重175kgという肥満体型のために持久力が乏しく、力士にとって基礎的な運動である四股を10回踏んだだけで疲れてしまうほどだったと語っています。これは、彼の相撲における体力的な限界を物語るエピソードと言えるでしょう。

このように、修羅王 政勝は、記録に残る成績だけでなく、そのユニークな人柄や体格にまつわる様々な逸話を通して、記憶される力士です。1975年の廃業後、没年は判明していませんが、その土俵人生と人物像は今も語り継がれています。

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