修証義

修証義（しゅしょうぎ）について

『修証義』は、曹洞宗の教祖である道元の『正法眼蔵』を基に、特に在家信徒を念頭に置いて作成された重要な経典です。この書物は、全5章31節に分かれており、修行や信仰の本質についての深い教えをまとめています。

背景と意義

『正法眼蔵』自体は主に出家僧を対象とした内容であり、修行に関しては出家主義的な側面が強いです。そのため、在家の信徒が直接実践するには困難な部分が多く存在しました。しかし、時代が進むにつれて在家信徒が増加し、彼らに対する禅の修行の普及が求められるようになりました。このような背景から、『修証義』は在家信徒が実践しやすい形式で教義を整理し、日常生活においても信仰を深める手助けとなることを目的としています。

作成の経緯

この書物の編纂は、明治21年に「曹洞宗扶宗会」が中心となり行われました。当時の学長である大内青巒がプロジェクトをリードし、新しい時代の風潮に合わせた在家向けの布教を模索しました。その後、明治23年には永平寺の貫首である滝谷琢宗と、總持寺の貫首である畔上楳仙が校閲・改訂を行い、名を『曹洞教会修証義』に改めて発表しました。最終的には『修証義』と改称され、当時の在家信徒に向けた教典として位置づけられることになりました。

名称の由来

『修証義』という名称は、その成分である「修」、つまり修行、「証」、すなわち悟り、そしてその2つについての「義」（ことわり）をまとめたものを指しています。これにより、読者は修行と悟りの関係について深く理解することができる構成となっています。

構成内容

『修証義』は以下のような章立てで構成されています：
1. 総序 - この章では全体の概要や趣旨が述べられています。
2. 懺悔滅罪 - 自らの過ちを認識し、懺悔の意義が詳述されています。
3. 受戒入位 - 戒を受けることの重要性とその実践が解説されます。
4. 発願利生 - 他者のために生きることの大切さについて語られます。
5. 行持報恩 - 行動を通じて感謝の気持ちを表すことが説かれています。

このような章構成によって、読者は段階的に修行の意義を理解し、日常の修行に活かすことができるよう心がけられています。

曹洞宗における位置付け

『修証義』は、もともと在家信徒を対象とした『正法眼蔵』の抄録であり、曹洞宗の教義を体系的にまとめたものとして、僧侶と在家信徒に共通する経典と見なされています。そのため、曹洞宗の基本的な教典と同様に、信徒の日常的な修行の参考として利用されています。現在は曹洞宗宗務庁から刊行されており、寺院での頒布も行われています。

また、曹洞宗ではこの書物が有料で頒布されることもありますが、寄進者には寺院から授与されることもあるため、その価値は高いとされています。加えて、駒澤大学などの学生生活ガイドブックにも引用されており、広く認知された経典となっています。

なお、修証義の原文や現代文、英文などのテキストは外部リンクからもアクセス可能で、より多くの人々が学べるようになっています。

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