修道院長聖アントニウス (ポントルモ)

『修道院長聖アントニウス』（伊: Sant'Antonio abate）は、イタリアのマニエリスムを代表する画家、ヤコポ・ダ・ポントルモによって描かれた油彩画です。板に油彩で描かれており、現在はフィレンツェのウフィツィ美術館に所蔵されています。

この作品の本来の所蔵者や依頼主は明らかになっていませんが、その様式から、ポントルモの別の作品『聖ヨハネ』との類似性や、『老コジモの肖像』に描かれている巻物との類似性などから、制作年は1519年頃と推定されています。この年代特定は、一部の研究者（クラップとサルヴィーニ）によるより遅い制作年説を除いて、広く受け入れられています。

美術史家のルチアーノ・ベルティは、1973年にこの作品に関する研究を発表し、聖アントニウスの表現にアルブレヒト・デューラーの影響が認められると指摘しました。また、聖人の身振りには、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画に描いたシビュラたちや預言者たちの影響が見られるとも述べています。ポントルモは、1515年頃にローマを訪れており、その際にシスティーナ礼拝堂の天井画を直接見た可能性が指摘されています。ポントルモが北ヨーロッパの版画を高く評価していたという記録も残っており、これらの要素が、この作品に影響を与えていると考えられます。

この絵画は、ポントルモが初期に制作した作品の一つであり、彼の独特なスタイルが確立されつつあった時期の作品として、美術史的に重要な位置を占めています。

関連作品

（関連作品の具体的な情報が提供されていないため、このセクションは省略します。）

脚注

（脚注に関する具体的な情報が提供されていないため、このセクションは省略します。）

この作品は、ポントルモの初期の作風を理解する上で不可欠な作品であり、彼の作品に影響を与えた芸術家や、当時の芸術的な潮流を考察する上で重要な手がかりを与えてくれます。ウフィツィ美術館を訪れる際には、ぜひこの作品を鑑賞し、ポントルモの芸術世界に触れてみてください。

もう一度検索