俵星玄蕃 (曲)

俵星玄蕃（たわらぼしげんば）

俵星玄蕃は、1964年4月に三波春夫が発表した曲で、彼のシングルでもあり、長編歌謡浪曲という特異なジャンルの代表作として知られています。正式なタイトルは「長編歌謡浪曲 元禄名槍譜 俵星玄蕃」であり、曲は忠臣蔵を背景にした架空の人物、俵星玄蕃を主人公としています。

この楽曲は、作詞が北村桃児という三波自身のペンネーム、作曲が長津義司によるものです。三波は浪曲師としての経歴を持ち、戦前の浪曲のスタイルを保ちながら、より広く楽しんでもらうためにこの長編歌謡浪曲の形式を創作しました。その結果、多くの作品を手がけ、この「俵星玄蕃」が多くの人々に愛される曲となりました。

「俵星玄蕃」は、一つの物語を8〜9分にまとめており、一般的な歌謡曲の長さの約2倍に相当します。そのためテレビ出演の際などには、主に浪曲の部分を省略して演奏されることもありました。

三波春夫は、力強い演技でこの曲をパフォーマンスし、現在でも日本舞踊の題材として取り上げられることがあります。また、2011年にリリースされたボックス入りCDセット「終り無き歌藝の道」には、三波の娘である三波美夕紀が「俵星玄蕃」を含む他の9曲を振付けて踊るDVDも含まれています。

三波盤の累計売上は150万枚に達し、彼は1964年の第15回NHK紅白歌合戦の大トリとしてこの楽曲を披露しました。さらに、1999年の第50回紅白歌合戦にも出場し、当時76歳であった三波の歌唱は彼の60年にわたる音楽の集大成と称賛されました。

「俵星玄蕃」は、歌詞が長大であり、歌いこなすには高い専門性が要求されます。この曲は、現在でも多くの演歌歌手、例えば島津亜矢、山内惠介、三山ひろしなどのレパートリーにも取り入れられています。また、落語家の柳亭市馬が持ちネタの一つとして演じており、CDもリリースしています。俳優の風間杜夫も、独自のスタイルでこの曲を歌い上げ、長年にわたり公演で盛り上げています。

収録曲の一覧

1964年盤（テイチク SS-26）

• - 元禄名槍譜 俵星玄蕃
• - 権八忍び笠
• - 元禄名槍譜 俵星玄蕃（台詞入り）

1992年盤

• - 俵星玄蕃（B.S.T.ラップ・ミックス）
• - 世界の国からこんにちは（イージー・ゴーイング・レゲエ）
• - 俵星玄蕃（カラオケ）
• - 世界の国からこんにちは（カラオケ）

1997年盤

• - 元禄名槍譜 俵星玄蕃
• - 元禄名槍譜 俵星玄蕃（カラオケ）

2008年盤

• - 元禄名槍譜 俵星玄蕃
• - 豪商一代 紀伊国屋文左衛門
• - 元禄名槍譜 俵星玄蕃（カラオケ）
• - 豪商一代 紀伊国屋文左衛門（カラオケ）

カバーアーティスト

• - 真山一郎（1994年発売、シングル）
• - 島津亜矢（2002年、2003年のカバーアルバムに収録）
• - 柳亭市馬（2008年発売のシングルに収録）
• - 山内惠介（2010年、2011年のDVDに収録）
• - 三山ひろし（2013年のCDに収録）

このように「俵星玄蕃」は、演歌と浪曲が融合した独特な音楽スタイルを持ち、多くのアーティストによって今なお歌い継がれています。

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