倉持隆夫

倉持 隆夫の生涯と功績

倉持隆夫（くらもち たかお、1941年1月2日生まれ）は、日本テレビで長年アナウンサーとして活躍し、特にプロレス実況で知られる人物です。東京都三鷹市で生まれた彼は、東京都立豊多摩高等学校を経て早稲田大学法学部を卒業しました。在学中には小説家の笹沢左保の書生を務める経験もあります。

日本テレビ入社とプロレス実況のキャリア

1964年に日本テレビに入社した倉持は、徳光和夫の推薦でプロレス実況を担当することになりました。彼は、全日本プロレス中継のメインアナウンサーとして、ジャイアント馬場やジャンボ鶴田、ミル・マスカラスなどの名勝負を実況し続けました。特に1976年以降、彼は清水一郎や徳光の後を引き継ぎ、重要な試合を多く担当しました。

倉持の実況は独特であり、「倉持節」としてファンに愛されました。特に1990年の実況最後の日には、彼の人気の高さから試合会場は大きな盛り上がりを見せました。彼は1990年にメイン実況を若林健治に譲り、事業部に異動しましたが、日本テレビでのプロレス中継には関与し続けました。

異動後の活動と著書

日本テレビ在籍中、倉持は東京ケーブルネットワーク製作のジャパン女子プロレス実況や、海外団体のWWFやNWAのビデオ実況も行いました。1995年には、読売新聞北陸支社に出向し、系列局テレビ金沢でニュースキャスターも務めました。彼は2001年3月に定年を迎えました。

倉持は、全日本プロレスに関わり続けたため、アントニオ猪木の試合実況を1979年に一度だけ担当しましたが、その後のインタビューや著書では猪木に対する敬意を表しています。彼は金沢時代に訪れた猪木と会った際に魅了されたと語っています。

プロレス実況のスタイルとエピソード

倉持は多くの記憶に残る瞬間に立ち会いました。例えば、1977年の「世界オープンタッグ選手権」最終戦では、ファンクス対シーク＆ブッチャー戦を実況し、1981年にはスタン・ハンセンの乱入劇を実況しました。1980年には、試合中に自らが襲撃され救急車で運ばれるという衝撃的なアクシデントも経験しました。

また、馬場の試合実況中に感情が高まりすぎて原プロデューサーに注意されたエピソードもありますが、その後は馬場に寄り添った実況を心がけるようになりました。

引退後の生活と影響

倉持は日本を離れ、スペインのセビリアに移住していましたが、現在は日本に戻っているとのことです。彼の実況スタイルは、後のアナウンサーたちにも影響を与え、全日本プロレスの歴史に名を刻んでいます。倉持は2010年に著書『マイクは死んでも離さない』を発表し、自身のプロレス実況の黄金期を振り返っています。

彼の足跡は、プロレスファンのみならず、多くの人々に記憶され続けるでしょう。

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