倉田文作

倉田文作：日本の仏像研究を牽引した学者

倉田文作（くらた ぶんさく、1918年4月17日 - 1983年1月23日）は、日本の仏像研究において重要な足跡を残した人物です。

生い立ちと学歴

倉田文作は、1918年4月17日に千葉県安房郡に生まれました。父は画家である倉田重吉です。長野県立上田中学校を経て、1940年に青山学院文学部英文科を卒業。その後、1942年には早稲田大学文学部文学科を卒業し、学問への道を歩みました。1944年には東洋美術国際研究会嘱託として、その専門性を活かし始めます。

博物館・文化財保護への貢献

1945年、倉田文作は文部省社会教育局嘱託となります。1947年には国立博物館に入り、調査課嘱託を経て、翌年文部技官に就任。1950年からは文化財保護委員会事務局美術工芸課彫刻部に勤務し、日本の文化財保護に尽力しました。1959年には彫刻部主査、1964年には文化財調査官、1966年には事務局美術工芸課長と、要職を歴任しました。1969年には東京国立博物館学芸部長に転じ、博物館運営にも貢献しました。

1972年には文化庁文化財保護部文化財鑑査官に就任。1975年には奈良国立博物館長に就任し、文化財の保護・研究に貢献しました。

受賞と栄誉

倉田文作の博物館振興への功績は高く評価され、1981年には文部大臣より表彰を受けました。1983年には、その功績を称えられ、従四位に叙せられ、勲二等瑞宝章を受章しました。

著書

倉田文作は、研究者として数多くの著作を世に残しました。主な著書としては以下のようなものがあります。

『仏像のみかた 技法と表現』第一法規出版, 1965
『仏像の像内と納入品併せて木彫像の構造論』(やさしい美術の話 箱根美術館, 1965.7
『原色日本の美術 第5巻 密教寺院と貞観彫刻』小学館, 1967
『日本の美術 7 (ブック・オブ・ブックス) 貞観彫刻』小学館, 1971

これらの著作は、仏像研究における重要な参考文献として、今日でも広く活用されています。

共編著

『平等院』飛鳥園写真部 写真撮影, 倉田文作 解説, 小川光三編. 飛鳥園, 1956.4
『仏像の美見かた考えかた』田辺三郎助共著, 小川光三 撮影. 社会思想社, 1966
* 『奈良の寺 16 法華堂と戒壇院の塑像 東大寺』入江泰吉写真、岩波書店, 1973


倉田文作は、1983年1月23日に逝去されましたが、その研究成果と文化財保護への貢献は、日本の美術史研究において、今後も長く語り継がれることでしょう。

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