借室電気室

借室電気室について

借室電気室（しゃくしつでんきしつ）は、電力供給の一形態であり、需要家が提供したスペースに電力会社の変電設備を設置して、電力を供給する仕組みです。この方式は、特に集合住宅や中規模の建物において、50 kVAを超え2,000 kVA以下の電力需要がある場合に適用されます。こうした配電方式は、特定の条件を満たす地域や建物において効率的な電力供給を実現するためのものです。

需要家の責任と電力会社の役割

借室電気室の設置にあたっては、一般に需要家はその設置場所を無償で提供します。この点において、需要家は場所の提供者でありつつ、変電設備に関連する管理の責任は電力会社が負うことになります。これは、一般用の電気工作物として位置づけられるため、電力会社がその保安を担保する必要があるからです。そのため、電気室へは電力会社の担当者の立会いなくしては入室することができません。

電気供給契約と料金

借室電気室を通じて電力を供給される集合住宅内の各住居は、低圧供給を主体とする電気需給契約を結ぶこととなります。このようにして、集約的な供給契約に基づき、全住居へ電力が効率よく分配される仕組みが確立されます。これは、電力の使用状況を一元的に管理することで、需要の変動にも柔軟に対応することが可能となるためです。

設備と技術

借室電気室に設置される変電設備には、特別高圧または高圧から低圧への変圧器や電力ヒューズなどがあります。変圧器の仕様については、たとえば100/200 Vの場合には電灯と動力で共用する三相4線式や、三相3巻線単相分割結線が用いられます。また、240/415 Vの場合は三相4線式が利用されます。

施設の設置形式の変化

近年では、建物の有効活用を図るために、屋外型のキュービクル形式や小型化を意識したパットマウント方式などの新しい形態の借室電気室が増加しています。これにより、限られた体積と設置スペースでも効率よく電力供給を行うことが可能となり、都市部などの高密度な地域に適した選択肢となっています。こうした進展は、電力供給の安全性と効率性を同時に向上させることを意識して、今後さらなる技術革新が期待されます。

まとめ

借室電気室は、需要家から提供されたスペースに変電設備を設置し、電力会社が電力供給を行うシステムであり、特に中規模建築物に適用される形式です。また、電力会社の保安責任が担保された上での安全な電力供給を実現しています。今後も、技術の進歩に伴い、より効率的で安全な電力供給方法が確立されていくことでしょう。

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