傅皇后 (漢哀帝)

傅皇后（ふこうごう）

傅皇后は、前漢の哀帝の皇后です。彼女は傅昭儀の従弟である傅晏の娘として生まれました。

生涯

哀帝が即位する前、定陶王であった時代に、傅昭儀の意向により、親族であった傅皇后は哀帝の妻として迎えられました。その後、哀帝が成帝の皇太子となると、傅皇后も皇太子妃という立場になります。

綏和2年（紀元前7年）に成帝が崩御し、哀帝が皇帝として即位すると、傅皇后は皇后に立てられ、彼女の父である傅晏は孔郷侯に封じられました。

しかし、哀帝は董賢とその妹である董昭儀を深く寵愛し、傅皇后を顧みることはほとんどありませんでした。郎中の桓譚は、傅晏に対し、陳皇后の例を引いて、皇后としての行動を慎重にするよう諫言しましたが、傅皇后が廃位されることはありませんでした。

元寿元年（紀元前2年）には、後ろ盾であった傅昭儀が亡くなります。そして、元寿2年（紀元前1年）6月に哀帝が崩御すると、王莽と王政君が政治の実権を握りました。同年7月、王莽は王政君の名において詔を出し、傅皇后を桂宮に退去させ、傅晏を免職とした上で、妻子と共に合浦郡へ流刑に処しました。さらに8月には、王莽は再び王政君に詔を出させ、傅皇后を庶人に落とし、陵園に就かせるという決定を下しました。その日のうちに、傅皇后は自害し、その短い生涯を終えたのです。

傅皇后は、権力闘争の犠牲者として、その生涯を翻弄された悲劇の皇后と言えるでしょう。

脚注

史料

『漢書』外戚伝下

参考文献

小竹武夫訳『漢書8 : 列伝V』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、1998年5月8日。ISBN 978-4-480-08408-8。 
東晋次『王莽 : 儒家の理想に憑かれた男』白帝社〈白帝社アジア選書3〉、2003年11月4日。ISBN 978-4-89174-635-3。 
渡邉義浩『王莽 : 改革者の孤独』大修館書店〈あじあブックス74〉、2012年12月20日。ISBN 978-4-469-23269-1。 

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