備州山大八郎

備州山 大八郎の生涯と相撲キャリア

備州山 大八郎（びしゅうやま だいはちろう）は、1919年11月4日、広島県沼隈郡松永町に生まれました。本名は三谷 順一（みたに じゅんいち）で、彼の相撲人生は、その独特のスタイルと比類なき闘志に彩られています。彼は荒磯部屋に所属し、入門時は伊勢ヶ濱部屋でした。身長167cm、体重128kgで、得意技は左四つ、突き、そして押しでした。

早年期と入門

大八郎の家業は下駄製造であり、彼は小学生の頃から相撲だけでなく、柔道や水泳にも秀でていました。16歳の時に上京して伊勢ヶ濱部屋に入門し、1936年1月場所で初土俵を踏みます。以降、彼の番付は上昇し続け、1941年1月場所で新入幕を果たしました。

特筆すべきは、彼の体型からの鋭い突き押しと四つに組んでの吊りの技術です。彼は新入幕から3場所連続で負け越したものの、東西制の時代においては逆に番付が上がるという珍しい現象が見られました。

雄大な活躍

大八郎は1942年、横綱・羽黒山と初対戦し、これを破って金星を獲得するという快挙を成し遂げます。その後、彼は羽黒山に何度も勝利を収め、対戦成績は7勝6敗となりました。特に1945年6月には、戦渦の中で行われた本場所で鮮烈なパフォーマンスを見せ、全勝で幕内最高優勝を達成しました。この勝利は、彼の唯一の幕内優勝でした。

戦後の功績

戦後の相撲誌でも「戦後相撲十年史」が発刊され、天皇賜杯を手にする備州山の姿が特集されました。この成功は、厳しい状況の中で戦った選手たちの象徴として語られ、彼の名声を確固たるものにしました。その後は自己最高位の東関脇に昇進しましたが、それ以後は小結へと降格し、中堅力士として長いキャリアを送ります。

彼は、1951年9月場所で途中休場後に再出場し、横綱千代の山を破る偉業を達成。これは再出場した力士として最初の横綱撃破であり、大きな注目を集めました。

引退とその後

1955年1月場所には十両に陥落し、同年3月場所で引退を余儀なくされます。年寄・桐山を襲名し、荒磯部屋や伊勢ヶ濱部屋で後進の指導に当たりましたが、引退後は私生活で困難に見舞われました。経営していたちゃんこ料理店が赤字のために閉店し、さらには自宅が火事で全焼する事態に至ります。

彼の死後1年も経たないうちに、未亡人が2人の娘を道連れに一家心中を図るという悲劇も起こりました。大八郎の波乱に満ちた人生は、相撲界における彼の成功とそれに伴う苦難が交錯し、強い印象を残しています。

知っておくべき成績

通算成績は272勝304敗と、勝率は0.472に留まり、幕内在位は36場所、三役在位は3場所でした。彼は幕内最高優勝1回、そして金星を5個獲得しました。備州山の名は、彼の偉業を通して今でも相撲ファンの心に残り続けています。

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