傳宗院

傳宗院（でんそういん）

傳宗院は、愛知県知多郡東浦町に位置する曹洞宗の寺院で、山号は上世山、そして本尊は延命地蔵菩薩として知られています。こちらは知多四国霊場の第8番札所、及び知多西国三十三所霊場の第29番札所でもあります。古き良き歴史を持つこの寺院は、多くの信者や観光客に親しまれています。

歴史

創建

傳宗院の創建に関しては諸説あり、『東浦町誌』によると天文元年（1532年）、刈谷城主であった水野信近の子、水野守隆により設立されたとされています。一方、『保存版 知多巡礼紀行』では、永禄10年（1567年）に水野與次右衛門が開基、常滑の天澤院4世である松隠珠巌大和尚を開山に迎えたと記されています。

近世

近世には、傳宗院はその運営に変遷を迎えます。3世の大良喜歓大和尚が美浜の心月斎に転任した後、無住状態となり、東光寺の5世明南昌察和尚が兼務しました。延宝3年（1675年）には観音堂が建立され、観音堂に安置された十一面観世音菩薩は、33年毎に開帳される伝統があります。また、江戸時代に知多四国霊場が開創され、傳宗院は第8番札所として多くの巡礼者を迎えるようになります。安政5年（1858年）には本堂が改築され、寺院の規模が拡大しました。

近代・現代

明治時代に入り、1874年（明治7年）には15世の壇苗嶺栴大和尚がその法地を再興します。太平洋戦争中の1944年（昭和19年）には、名古屋市立道徳国民学校の児童が東浦町に疎開することになり、傳宗院が本部として機能しました。この期間中、緒川の傳宗院を含む幾つかの寺院が宿舎として利用され、多くの児童を受け入れました。1987年（昭和62年）と1995年（平成7年）にはそれぞれ庫裏、本堂、開山堂が改修され、今日に至るまでその格式を保っています。

境内

傳宗院の境内には魅力的な施設が揃っており、本堂、庫裏、観音堂、開山堂、山門、そして墓地といった構成が整っています。また、境外には地蔵院のイブキがあり、2005年には町指定の天然記念物として登録されるなど、その存在が地域に根付いています。

現地情報

傳宗院は愛知県知多郡東浦町緒川天白にあり、交通アクセスはJR武豊線の緒川駅から徒歩で訪れることが可能です。歴史的な背景と共に、精神的な拠り所となるこの地を訪れる際には、ぜひともその豊かな文化財や自然にも目を向けてみてください。

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