刈谷城

刈谷城（かりやじょう）

刈谷城は、現在の愛知県刈谷市城町1丁目に位置する日本の城です。築城当初は「刈屋城」と表記されていましたが、市制施行後に「刈谷城」として知られるようになりました。別名「亀城」とも呼ばれています。

城の構造

刈谷城は、衣ヶ浦の北東岸に築かれました。本丸を中心に、帯曲輪、二の丸、三の丸が配置され、周囲には堀が巡らされていました。天守はありませんでしたが、隅櫓が北西と南東に設けられ、本丸は土塀で囲まれていました。二の丸との間には内堀と馬出しが設けられていました。

歴史

1533年、水野忠政によって築城された刈谷城は、忠政が本拠地を緒川から移した場所でした。徳川家康の生母である於大の方が、この城から岡崎の松平広忠に嫁いだことでも知られています。於大の方は、父の死後、兄の信元が織田氏についたため離縁された後も、刈谷城近くで再婚するまでの日々を過ごしました。

桶狭間の戦いに関する記述や、三河一向一揆の記録にも刈谷城の名前が登場します。当時の城主であった水野信元は、織田信長に内通を疑われ殺害されますが、その後、水野氏が再び城主となり、5代にわたって居城としました。

江戸時代には、深溝松平家、久松松平家、稲垣氏、阿部氏、本多氏、三浦氏と頻繁に城主が交代し、1747年からは土井氏が9代にわたり支配しました。1871年の廃藩置県により城は廃城となりました。

明治時代以降、城跡は国有化された後、旧士族に払い下げられましたが、1936年に刈谷町が譲り受け公園として整備されました。戦時中には軍の陣地として利用され荒廃しましたが、戦後に再び整備され、現在は桜の名所として親しまれています。また、旧三の丸には刈谷市立亀城小学校と刈谷市郷土資料館が建っています。

近年、隅櫓や石垣、城門の復元計画が進められ、2019年には刈谷市歴史博物館が開館しました。隅櫓や石垣は、2020年度以降の完成が予定されています。

遺構

現在、城跡のうち本丸と帯曲輪の一部が亀城公園として整備されています。建物や石垣の遺構は残っていませんが、本丸を囲む土塁や、帯曲輪東側の堀が池として残っており、往時の面影を伝えています。また、北西隅櫓の跡にはわずかな石垣が残っています。移築された辰巳櫓は妙福寺に現存しています。

復元整備計画

江戸時代の城絵図や調査に基づき、北西隅櫓、南東隅櫓、多門櫓、表門、裏門、土塀の復元計画が進められています。

城絵図・模型など

刈谷市郷土資料館には、刈谷城の復元模型が展示されています。また、刈谷城絵図の複写も随時展示されています。市内では、ゆるキャラ「かつなりくん」が刈谷城を解説する立看板が設置されています。

刈谷古城

刈谷城の前身として、刈谷古城（元刈谷城）が存在したとされています。15世紀に水野貞守によって築城され、1533年に水野忠政が現在の刈谷城を築城した際に廃城になったと伝えられています。ただし、江戸時代の文献には刈谷古城に関する記述がないため、その実態は不明な点が多いです。古城の城跡は、現在の刈谷城から南約1キロメートルの場所に位置し、発掘調査により陶器などが発見されています。

アクセス

名鉄三河線 刈谷市駅下車、徒歩約15分
JR東海道本線 逢妻駅下車、徒歩約15分

敷地内の刈谷市体育館には駐車場があります。

脚注

刈谷市史編さん編集委員会編 1989『刈谷市史』刈谷市
刈谷市教育委員会編 2011 『歴史の小径』（城下町周辺）公式文化財パンプレット
刈谷市編 2015 『刈谷城跡確認調査概要報告書-―亀城公園再整備事業に伴う遺構確認調査-』

関連項目

刈谷市
日本の城一覧
刈谷藩
水野氏
愛知県の観光地
郡山城 (大和国) - 水野勝成が刈谷城の次に移った城

外部リンク

刈谷城を知る｜刈谷市
刈谷城盛上げ隊
刈谷城盛上げ隊 (@k_moriagetai) - X（旧Twitter）

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