僕たちのラストステージ

ローレルとハーディの晩年を描いた感動の物語『僕たちのラストステージ』

『僕たちのラストステージ』（原題: Stan & Ollie）は、2018年に公開されたアメリカ、イギリス、カナダ合作の伝記映画です。ハリウッド黄金期を支えた名コンビ、スタン・ローレルとオリヴァー・ハーディの晩年を、温かい視点で丁寧に描き出しています。監督はジョン・S・ベアード、主演はスティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーが務め、二人の絶妙な演技が光る作品となっています。

復活を賭けた最後のツアー

物語は1953年、イギリスでのライブツアーから始まります。かつてハリウッドで一世を風靡したローレルとハーディですが、プロデューサー、ハル・ローチとの確執や時代の変化によって人気は下降線をたどり、経済的にも苦境に立たされていました。このツアーは、彼らにとってまさに復活を賭けた最後の舞台だったのです。

ツアーは、往年の輝きを失っていない二人の芸の腕前に支えられ、大成功を収めます。観客の熱狂的な反応に、かつての栄光を取り戻せるかもしれないと期待が膨らみます。しかし、その矢先、オリヴァーに容赦ない病魔が襲いかかります。

キャストと製作

スタン・ローレル役を演じるのは、スティーヴ・クーガン。オリヴァー・ハーディ役には、ジョン・C・ライリーが扮しています。その他、ルシル・ハーディ役のシャーリー・ヘンダーソン、ハル・ローチ役のダニー・ヒューストンなど、実力派俳優が脇を固めています。

映画の製作は2016年にスタート。監督のジョン・S・ベアード、脚本家のジェフ・ポープ（ローレルとハーディをヒーローと語るほどの熱意を持っていたと伝えられています）、そして主演の二人が集結し、このプロジェクトは実現しました。カンヌ国際映画祭で配給権が売りに出され、翌年イギリスで主要撮影が行われました。特にライリーは、オリヴァー・ハーディを演じるため、毎日4時間もの特殊メイクに時間を費やしたと伝えられています。

公開と評価

2018年、劇中写真やオフィシャル・トレイラーが公開されると、大きな話題を呼びました。ロンドン映画祭でのプレミア上映を経て、全米配給権を獲得。批評家からは高い評価を得ており、Rotten Tomatoesでは批評家支持率91%、Metacriticでも72/100という高スコアを記録しています。感動的な描写と、二人のエンターテイナーへの敬意が認められ、ジョン・C・ライリーはゴールデングローブ賞主演男優賞にもノミネートされました。

心温まる物語

『僕たちのラストステージ』は、単なる伝記映画ではありません。時代に取り残されながらも、揺るぎない友情と芸への情熱を貫く二人の姿は、見る者の心を深く揺さぶります。笑いと涙、そして温かい感動に包まれた、忘れられない名作です。彼らの輝かしい過去と、静かに幕を閉じる最後のステージ。その全てが、観客に忘れられない感動を与えてくれるでしょう。

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