元文都

元文都について

元文都（げん ぶんと、生年不詳 - 618年）は、隋の時代の政治家として、重要な役割を果たした人物です。彼は河南郡洛陽県に本貫を持ち、北周の有力な家系に生まれました。父は北周の小冢宰である元則（元均の子）であり、彼自身も若いころから政治の道を歩むことになります。

初期の経歴

元文都は、北周に仕官した際に右侍上士としての地位を得ました。その後、隋が建国されると内史舎人に任じられ、さらに庫部曹郎や考功曹郎といった重要な役職を歴任し、政権内での有能さが知られるようになります。これにより、彼は尚書左丞へと昇進し、続いて太府少卿に転任します。

煬帝の時代

煬帝が即位すると、元文都は司農少卿や司隷大夫としても重要な役割を果たしました。しかし、政治的な混乱や事件に関与したため、御史大夫に任じられた後に免職されるという出来事もありました。それでも、彼はまもなく復職して太府卿となるなど、その才覚を示し続けました。

大業12年の出来事

616年、煬帝が江都宮に行幸した際、元文都は段達や皇甫無逸、韋津らと共に東都留守を務めました。618年には、煬帝が宇文化及に暗殺されると、元文都は再び重要な役割を果たし、段達や韋津と共に越王楊侗を新たな皇帝として擁立します。彼自身も内史令に任じられ、開府儀同三司や光禄大夫、左驍衛大将軍などの位を受けて、魯国公に封じられました。

権力闘争と悲劇的な結末

その後、宇文化及が秦王楊浩を立て彭城に進軍する中、元文都は李密に使者を派遣し、官位の授与を行いました。これにより、宇文化及との対決に備えようとしましたが、王世充が李密との和解に反対し、元文都と対立することになります。楊侗は元文都に御史大夫の兼任を求めましたが、王世充の反対にあい、次第に緊張が高まります。

元文都は、王世充を暗殺する計画を立案し、盧楚らと共に行動を起こしました。しかし、王世充は密告を受け、その動きを察知。病気を理由に逃げ込み、夜になると部下を率いて反撃に出ます。王世充は東太陽門から東都の宮城に侵入し、紫微観で楊侗に拝し、自身の権力を誇示しました。この結果、楊侗は王世充の要求を受け入れ、元文都は興教門で彼の部下に斬殺されることとなり、彼の子孫もその運命を共にしました。

伝記資料

元文都に関する詳細は『隋書』の巻71、列伝第36や『北史』の巻17、列伝第5に記されています。これらの記録から、彼が隋時代において如何に重要な位置にあったかが伺えます。彼の生涯は、乱世における権力闘争の一端を示すものであり、その歴史的な意義は今なお語り継がれています。

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