元方安全衛生管理者

元方安全衛生管理者について

元方安全衛生管理者は、日本の建設業界において重要な役割を果たす存在であり、統括安全衛生責任者の下で業務を行います。この職種に求められるのは、技術的な事項を管理し、労働安全衛生の確保を行うことです。多くの場合、副所長のような立場の元請事業者が選任されることが一般的です。このため、元方安全衛生管理者としての職務を果たすためには、理科系の大学を卒業していることが望ましいとされています。

法律による義務

労働安全衛生法において、建設業に属する事業を運営する事業者は、元方安全衛生管理者を選任することが求められています（第15条の2第1項）。実際には特定元方事業者がこの職務に就くことが多く、選任後は速やかに労働基準監督署に氏名を報告しなくてはなりません（規則第664条）。また、労働基準監督署長は、必要と認めた場合に元方安全衛生管理者の増員や解任を指示する権限を持っています（第15条の2第2項）。

元方安全衛生管理者は専属の職員として選任されるべきであり、事業者はその権限を与える必要があります（規則第18条の3、第18条の5）。このため、元方安全衛生管理者は現場での労働災害を防ぐために、必要な措置を講じることが求められます。

職務の内容

元方安全衛生管理者は以下のような職務を担います。
1. 協議組織の設置と運営
2. 作業間の連絡・調整
3. 作業場所の巡視
4. 関係請負人の教育指導・援助
5. 労働安全衛生法に基づく機械や設備の使用に関する指導
6. 労働災害防止のために必要な事項の実施

特に、労働災害防止のための職務は非常に重要で、もし元方安全衛生管理者が職務を果たせない場合は、代理者を選任することが規則で義務づけられています（規則第20条）。

資格要件

元方安全衛生管理者の候補者は、以下の条件を満たさなければなりません。

• - 理科系の大学または高等専門学校を卒業し、建設工事の安全衛生に関連する実務経験が3年以上。
• - 理科系の高等学校を卒業し、5年以上の実務経験があること。
• - 厚生労働大臣が定めたその他の条件を満たす者。

衛生管理者などの特別な資格がなくても選任されることは可能ですが、関連する講習を受けていることが望ましいとされています。特に、建設業労働災害防止協会の講習への参加が奨励されています。

まとめ

このように、元方安全衛生管理者は建設業において安全を確保するための重要な存在であり、具体的な職務内容や資格要件が定められています。労働災害の防止に向けた取り組みが深化する中、その役割はますます重要になってくるでしょう。

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