先カンブリア時代

先カンブリア時代の概要

先カンブリア時代（せんカンブリアじだい）は、地球が誕生してから約46億年前から、最初の硬い殻を持つ生物の化石が見つかる5億4100万年前までの長い地質時代を指します。この時代は、原生代、太古代、冥王代の三つの累代に分けられるため、地球史の4つの累代のうち3つがこの時代に含まれています。残りの1つは、古生代、中生代、新生代を含む顕生代です。先カンブリア時代に関する知識は依然として限られており、近年までその多くが解明されていなかったことが特徴です。

名称

この時代は「先カンブリア代」とも呼ばれ、また隠生代（英：Cryptozoic eon）とも称されます。隠生代という名前は、この時代に大型生物の化石がほとんど存在しないことから来ており、化石が豊富に見つかる顕生代と対比されています。先カンブリア時代は、相対年齢を元に広い範囲が一つの時代にまとめられていた過去がありますが、研究が進むにつれ通説が変わりました。

地球の形成

地球は約46億年前、太陽の周囲を回る小さな天体（ミニ惑星）が衝突し合って形成されました。最初は小さな塵から形成され、火星ほどのサイズへの成長を経て、さらに衝突が続き現在の地球ができたと考えられています。特に最後の衝突はジャイアント・インパクトと呼ばれ、月の形成にも関わっています。初期の地球は溶けた岩石に覆われ、大気中には水蒸気が存在しました。その後、微惑星との衝突が減少し、表面温度が下がるにつれて地殻が形成され、雨によって海洋が生まれたとされています。約40億年前には地球の大部分が海で覆われていたことが示されています。

生命の起源

生命誕生の時期については諸説がありますが、38億年前の岩石から生命由来とされる炭素の証拠が見つかっています。細菌の化石も35億年前のものが南アフリカで発見されており、原始的生命体が存在していたことが示唆されています。さらに、34億6000万年前の古い原核生物の化石がオーストラリアで発見されており、この時期には生物の多様化が進んでいたと考えられています。

プレートテクトニクス

先カンブリア時代のプレートテクトニクスは不明瞭ですが、主に海に覆われていたとされています。この時代には造山運動が起こり、小さな島々が形成され、その後合体して大陸へと成長しました。約27億年前には、プレートの対流が変化し、より大きな大陸が形成されるようになり、19億年前には初の超大陸ヌーナが存在しました。

氷期と大気の変化

先カンブリア時代には数回の氷期があったことが示されています。最古の氷期は約24億年前から22億年前にかけて起こり、さらに8億年前から6億年前には2度の氷期が記録されています。また、大気中の酸素が確認されるのは約35億年前ですが、当時の大気成分は暗い時代を示唆しています。初期の大気は主に水蒸気と二酸化炭素から成り立っており、27億年前からはシアノバクテリアによる光合成が活発になり、酸素濃度が上昇しました。

先カンブリア時代は、現在の生態系が形成される基盤となった重要な時期であり、地球生物史の初期を理解するための鍵を握っています。

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