先代旧事本紀大成経

『先代旧事本紀大成経』について

『先代旧事本紀大成経』（せんだいくじほんきたいせいきょう）、通称『大成経』は、日本の歴史的な教典であり、推古天皇の命によって聖徳太子が編纂したとされています。この書物は、江戸時代に出版されますが、すぐに研究者たちによって偽書であるとされ、関連する人物は厳しい処罰を受けました。本書は、すでに存在していた『先代旧事本紀』に関連しており、平安中期から江戸時代中期にかけては、他の古典と同様に重要な史書と見なされていました。江戸時代には、この『先代旧事本紀』は抄本の形で流通し、その背景には多くの研究がありました。

書の序と歴史的背景

本書の序文によれば、620年に推古天皇の命により、歴史の編纂が開始され、聖徳太子や蘇我馬子が重要な役割を果たしました。その目的は、神道の復興を通じて国の繁栄を目指すことでした。彼らは、朝廷や有力な家族の記録を集めていく中で神代に関する資料に行き着き、卜部と忌部の祖神の神社から発見された文書を用いて編纂が進められました。この書の完成は、合理性を重んじる儒教の影響下にある時代に位置していますが、神道、儒教、仏教の三つの思想が共存する立場が示されています。

書の構造と内容

『先代旧事本紀大成経』は、72巻から構成され、それぞれが特定のテーマに焦点を当てています。正部と副部に分かれ、それぞれに独立した巻が存在します。正部では神代から推古天皇にいたるまでの歴史や祭祀が扱われ、副部では卜占、歴制、医学、憲法などの広範なテーマが含まれています。

正部

• - 神代本紀（全一巻）
• - 先天本紀（全一巻）
• - 陰陽本紀（全一巻）
• - 黄泉本紀（全一巻）
• - 神祇本紀（上下二巻）
• - 神事本紀（上下二巻）
• - 天神本紀（上下二巻）
• - 地祇本紀（上下二巻）
• - 皇孫本紀（上下二巻）
• - 天孫本紀（上下二巻）
• - 神皇本紀（全六巻）
• - 天皇本紀（全六巻）
• - 帝皇本紀（全六巻）
• - 聖皇本紀（全四巻）

副部

• - 經教本紀（全六巻）
• - 祝言本紀（全一巻）
• - 天政本紀（全一巻）
• - 太占本紀（上下二巻）
• - 歴道本紀（全四巻）
• - 醫綱本紀（全四巻）
• - 禮綱本紀（全四巻）
• - 詠歌本紀（上下二巻）
• - 御語本紀（全四巻）
• - 軍旅本紀（上下二巻）
• - 未然本紀（全一巻）
• - 憲法本紀（全一巻）
• - 神社本紀（全一巻）
• - 國造本紀（全一巻）

異本とその影響

この日は、多くの異本が存在しており、特に延宝7年（1679年）に出版された72巻の本が有名です。この出版をきっかけに、学者や神職、僧侶の間で広まることになります。また、いくつかの重要な異本が存在し、それぞれ特有の歴史的背景があります。

『先代旧事本紀大成経事件』

1675年以降、この書が江戸の出版社から出版されると、大きな議論を巻き起こしました。そして1681年には幕府が『大成経』を偽書と定め、関係者を処罰しました。この事件は、神道の復興を求めた伊雑宮の神職が関わっていたとされ、その背後には複雑な権力争いや政治的な動きがあったことが明らかになっています。これにより、『大成経』は禁書とされ、さらなる影響を与え続けることになりました。

結論

『先代旧事本紀大成経』はその内容に関する歴史的な意義をもっているだけでなく、偽書事件を通して宗教や文化の交錯を示す重要な文献です。その影響は時代を超えて続いており、現在でも神道や日本史の研究において重要な資料として位置付けられています。多くの思想家や研究者がこの書に魅了され、その存在が宗教的な認識やつながりに深く関わっていることは注目に価する点です。

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