光の旅人 K-PAX

光の旅人 K-PAX

『光の旅人 K-PAX』（原題: K-PAX）は、2001年に公開されたアメリカの映画で、ジーン・ブリュワーの小説『K-パックス』を原作としています。物語は、ニューヨークの中央駅にひょっこり現れた異星人、自称「プロート」を中心に展開されます。彼は切符や荷物を一切持たず、「K-PAX星」という星からやってきたと語ります。彼の言葉に流れる落ち着きは、彼が記憶喪失や妄想の患者として精神科病棟に送られたことを感じさせません。

プロートは、自らを337歳の宇宙の旅人と称し、耳を傾ける者に宇宙の未知やK-PAX星に関する不思議な話をします。彼の隣には、担当医のパウエル博士がいます。パウエル博士は、プロートの言動や講義に驚かされると同時に、彼の本当の正体を探ろうとします。彼は肝心なことを見逃しているかもしれないという不安を抱えながら、精神病患者としてのプロートの診断を進めます。

プロートは、病棟にいる他の患者たちとの交流を深め、彼らにも的確なアドバイスを行っていきます。彼の存在は、軽やかに病棟の雰囲気を変え、信頼を得ることになります。サングラスを常につけているプロートですが、彼が感知できる紫外線の存在や、K-PAX星の詳細についての知識は、宇宙の専門家たちをも驚かせます。特に、彼の天体に関する知識は、学者たちが抱える恒星の不思議な動きを説明するのに非常に役立ちます。

物語は、プロートが地球に滞在した期間が5年に及ぶことを示しています。そして、彼は7月27日にK-PAX星に帰ることを宣言し、地球人の中から一人を連れて行くと約束します。希望を抱く患者たちは、プロートに選ばれるために各自自分の理由を書いたレポートを提出します。しかし、彼らの期待とは裏腹に、パウエル博士はプロートの過去探しに苦戦します。

彼の過去を掘り下げる中で、プロートは実在するロバート・ポーターであることが次第に明らかになります。ロバートは、妻子をならず者に殺された悲しい過去を抱えており、彼の秘密を探るパウエル博士はそれに心を痛めます。7月27日が近づく中、プロートがK-PAX星を去る姿を思い描く精神科医と患者たちの緊張感が高まります。

結局、プロートの帰還の日、彼は病室で動かない状態になり、切ない展開が待っていますが、そこからも色々な教訓や感情を得ていく流れが描かれます。最終的に、プロートの言動がパウエル博士自身の人生に影響を与え、彼も家族に目を向けることとなります。

映画の評価は賛否が分かれ、Rotten Tomatoesでは支持率42%、Metacriticでは加重平均49/100というスコアが付けられました。キャストには、ケヴィン・スペイシー（プロート役）、ジェフ・ブリッジス（パウエル博士役）、メアリー・マコーマック（レイチェル・パウエル役）など錚々たる面々が揃っています。

『光の旅人 K-PAX』は、異星人との出会いを通じて人間の心の深淵に触れ、精神的・感情的な成長を描き出しています。

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