光冨郁埜

光冨 郁埜（みつとみ いくや）

光冨 郁埜氏は、1967年2月13日に生まれ、詩人として、また文芸誌『オオカミ』の編集発行人として知られています。自身の出版社である狼編集室を主宰し、数多くの書籍を世に送り出しています。また、かつて詩と批評のウェブサイト「文学極道」（通称「文極」）の第四代代表を務めるなど、インターネット上での詩の活動においても重要な役割を担いました。

山口県に生まれ、神奈川県で育った光冨氏は、詩作の世界で独自の道を切り開いてきました。詩人としての創作活動に加え、文芸誌『オオカミ』の編集発行人として、現代詩の発表の場を提供し続けています。この活動は、新しい才能の発掘や、多様な詩的表現を紹介する上で重要な意味を持っています。

彼の詩業は早くから注目を集め、2001年には詩集『サイレント・ブルー』で第33回横浜詩人会賞を受賞するという栄誉に輝きました。この受賞は、詩人としての彼の地位を確固たるものとしました。『サイレント・ブルー』以外にも、光冨氏は複数の詩集を発表しています。初期の作品としては、1996年に上梓された光冨郁也詩集『堕天使のメルヘン』があります。その後、受賞作である2001年の光冨郁也詩集『サイレント・ブルー』、2006年の光冨郁也詩集『バード・シリーズ／斜線ノ空』と続きました。そして、2014年には名義を改めた光冨郁埜詩集『豺（ヤマイヌ）』を刊行しています。これらの詩集は、それぞれ異なる主題やスタイルを持ちながらも、光冨氏独自の感性に基づいた詩世界を展開しています。

編集者、発行人としての活動も精力的に行っています。狼編集室からは、自身や他の詩人の作品、そしてアンソロジーなどが多数刊行されています。特に、毎年発行されている『狼アンソロジー』シリーズは、2015年から2023年まで、9年連続でKindle版として世に問われています。これは、現代詩の動向を知る上でも貴重な資料となっています。その他にも、文芸誌『狼』の刊行に加え、ダーザイン詩集『青の果て――佳子シリーズ』や、あたるしましょうご改め中島省吾氏の詩集『あたるしましょう子』『人生崩壊』などをKindle版として出版しており、電子書籍を活用した新しい出版の形も積極的に取り入れています。

光冨氏はまた、現代詩壇における要職も歴任しています。2016年時点では、横浜詩人会の理事や、日本現代詩人会の理事を務めていました。さらに、日本詩人クラブの会員でもあります。これらの役職は、彼が詩壇内で広く認められ、その運営や発展に貢献していることを示しています。詩作、編集・出版、そして詩壇の運営という多岐にわたる活動を通じて、光冨郁埜氏は現代日本詩の発展に大きく寄与しています。

詩人としての瑞々しい感性と、編集者としての情熱、そして詩壇のキーパーソンとしての手腕を併せ持つ光冨郁埜氏は、これからも現代詩の世界において重要な存在であり続けるでしょう。彼の今後の活動にも注目が集まっています。

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