光妙寺三郎

光妙寺三郎（こうみょうじ さぶろう）

光妙寺三郎は、1847年（弘化4年）に周防国（現在の山口県）に生まれ、1893年（明治26年）に46歳で亡くなった、日本の官僚、政治家です。旧姓は末松。

生い立ちと初期の活動

光妙寺三郎は、浄土真宗の寺院である光妙寺の住職の三男として生まれました。幼少期は寺で過ごしましたが、幕末の動乱期には長州藩の諸隊に入隊し、井上馨の書記役を務めるなど、政治の世界に関わるようになりました。この頃は三田、光田姓を名乗っていた時期もありました。

フランス留学と法学修得

1869年には横浜のフランス語伝習所に入学し、語学を習得しました。1871年には長州藩の藩費留学生としてフランスとベルギーに留学し、パリ大学で法学を学びました。この留学中に、同じくフランスに留学していた西園寺公望と親友となり、生涯にわたる友情を育みました。1878年、日本人として初めてパリ大学から法学士の学位を授与され、法学者としての基礎を築きました。この頃から光妙寺姓を名乗るようになります。

官僚としての活躍

1878年に帰国後、法制局専務などの要職を歴任しました。1880年には、外務卿に就任した井上馨のもとで、外務省少書記官に転任し、官僚としてのキャリアを本格的にスタートさせます。西園寺公望が東洋自由新聞の社長に就任すると、編集社員として加わりましたが、自由民権的な新聞であったことが問題視されることもありました。1881年には権大書記官に昇進し、1882年には外務書記官としてフランス在勤を命じられ、翌年パリに赴任しました。

政界への転身と晩年

1884年に帰国命令を受け、1885年に外務省を辞任しました。その後は明治法律学校の講師として憲法を講義する傍ら、大審院検事や逓信省参事官を兼任するなど、多岐にわたる分野で活躍しました。1890年には、山口県第一区から末松三郎名義で衆議院議員に初当選し、政界にも進出します。1891年には光妙寺家に復籍し、東京郵便電信学校の校長にも就任しました。しかし、1893年には逓信省参事官と東京郵便電信学校長を辞任し、弁護士として活動を開始したものの、肺結核を患い、同年9月に46歳の若さで死去しました。墓所は品川区大井の光福寺にあります。

人物像と逸話

光妙寺三郎は、その弁舌の巧みさから「東洋のクレマンソー」と称されることもありました。また、1888年には「決闘は文明の華」と唱え、世間の注目を集めました。私生活では、柳橋の芸妓との間に男児がおり、その子は光妙寺の死後、西園寺公望に引き取られ、俳優の東屋三郎として活動しました。

栄典

1892年（明治25年）2月22日 - 正五位
1889年（明治22年）11月29日 - 大日本帝国憲法発布記念章
1891年（明治24年）3月30日 - 勲四等瑞宝章
1884年（明治17年）12月27日 - フランス共和国：レジオンドヌール勲章オフィシエ

参考文献

木戸照陽著 『日本帝国国会議員正伝』 田中宋栄堂、1890年
山口昌男著 『知の自由人たち』 （NHKライブラリー）
福井純子 「光妙寺三郎―その人と足跡―」
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
明治大学史資料センター 『明治大学小史―人物編』 学文社、2011年　ISBN 978-4-7620-2217-3

関連項目

決闘罪ニ関スル件

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