光定 (僧)

光定の生涯とその功績

光定（こうじょう、779年 - 858年）は、平安時代前期に生きた天台宗の高僧です。彼の俗姓は贄氏で、伊予国風早郡に生まれました。光定はその生涯を通じて数々の功績を残しています。特に、彼が開山したのは石鉄山であり、延暦寺における天皇の願いに応じた四王院の建立は特筆すべき事業です。彼は高別当大師とも呼ばれ、その業績は広く知られています。

出家と修行の始まり

光定の出家は、父母の死を経て、20歳の時に始まりました。彼はその後、山林での厳しい修行を重ねました。806年には僧の勤覚の勧めで上京し、宗教的指導者を探し始めました。809年には比叡山に登り、日本天台宗の創始者である最澄に仕え、『摩訶止観』の教えを義真から学ぶことになります。

光定は、811年に宮中での金光明会において天台宗の年分度者として得度します。812年には、東大寺で具足戒を受け、そのつながりの中で、空海からも胎蔵界灌頂や金剛界灌頂を受けました。

宮中との関わり

彼の宗教的知識と経験は、後に天皇との議論や宗教的討論へと発展しました。弘仁9年には最澄から戒壇設立の構想を打ち明けられ、光定はその実現に向けて朝廷との交渉に尽力しました。また、最澄が雨を祈った際には、その行動が降雨の結果をもたらし、光定は修行満位に叙せられました。

天台宗の発展に貢献

彼の尽力により、弘仁13年には最澄の入滅に伴い、大乗戒壇の設立が認可されます。これは光定の力によるものと伝えられています。823年、光定は延暦寺止観院で大乗戒を受け、また天長2年には天王寺講師として任されました。天長10年には法隆寺講師にもなり、宗教的な影響力を更に広げました。

承和2年には仁明天皇の近侍として任ぜられ、その後も様々な役職を歴任しました。また、838年には伝灯大法師位に昇進し、延暦寺戒和上としての役割も担いました。

晩年と文学活動

光定の晩年、彼は850年に止観業の年分度者を増員し、854年には文徳天皇の勅命により延暦寺別当に任ぜられました。そして858年には80歳を迎え、朝廷からの贈り物を賜るなど、豊かな生涯を過ごしました。最終的には延暦寺にて入寂し、享年は80歳でした。

光定はまた文学にも秀でており、彼の回想録『伝述一心戒文』には彼自身の作った詩が収められています。彼の作品は後の文人たちとの交流を通じて広まり、特に勅撰三集には入らなかったものの、他の詩集に彼の名が見られます。

参考文献

• - 『伝述一心戒文』

光定の著作であり、承和年間に成立しました。

• - 『延暦寺故内供奉和上行状』

円豊らによる光定の伝記が収められています。

• - 『文徳天皇実録』

光定の卒伝が記されています。

光定は、宗教界での高い地位を築き上げ、その功績が後に受け継がれていくこととなりました。

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