光岡早苗

光岡早苗の女優としての軌跡

光岡早苗は、1935年1月5日に日本統治下の朝鮮京城府で生まれました。建築設計技師の父と母のもと、幼少期を過ごし、終戦後に日本へ引き揚げました。1953年、文化服装学院在学中に新東宝にスカウトされ、映画界入りを果たしました。

新東宝から東映へ

デビュー作は斎藤寅次郎監督の『初笑い寛永御前試合』で、人気喜劇俳優花菱アチャコの恋人役を演じました。しかし、実際にはそれ以前に田中絹代監督の『恋文』にも出演しており、その名がクレジットされています。新東宝では、美空ひばりや片岡千恵蔵の作品で脇役として活躍しました。

1956年には東映へ移籍し、京都撮影所に所属しました。加藤泰監督の時代劇映画『恋染め浪人』が東映での最初の出演作です。その後、東京撮影所に異動し、数多くの映画で脇役や端役を務めました。1962年にはテレビドラマ『特別機動捜査隊』でゲスト主演も経験しています。東映在籍中の6年間で60本以上の作品に出演しました。

成人映画界への転身

1964年、光岡は成人映画の世界へと転身しました。轍プロダクション製作の『危険な人妻』で主演を務め、以降、成人映画に数多く出演しました。この時期には、城山路子と改名して活動しました。

1965年には、葵映画製作の『赤い肌の門』で主演し、この作品から城山路子名義で活動しました。また、西原儀一監督の『いろ地獄』では、サスペンス映画としての評価も得ましたが、成人映画として売り出されました。その後も、『流転の愛欲』や『くずれる女』など、葵映画の作品で主演を務めました。

1966年、向井寛監督の『餌』への出演を最後に女優業を引退しましたが、引退時期に公開された『女の砦』や『人妻の秘密』などの作品も残っています。1977年には、小川欽也監督の『熟れた夫人の乱れ咲き』に光岡早苗名義で出演しています。

引退後は東中野でバーを経営していましたが、後に映画監督の小林悟が経営を引き継ぎました。光岡のその後の消息は不明です。

フィルモグラフィー

光岡早苗は、新東宝、東映、そして成人映画と、幅広いジャンルの作品に出演しました。以下は、主な出演作品の一部です。

新東宝
『恋文』(1953)
『初笑い寛永御前試合』(1953)
『ハワイ珍道中』(1954)
『逆襲大蛇丸』(1955)
『番場の忠太郎』(1955)

東映
『恋染め浪人』(1957)
『曲馬団の娘』(1958)
『点と線』(1958)
『素晴らしき娘たち』(1959)
『べらんめえ探偵娘』(1959)
『べらんめえ芸者』(1959)
『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』(1960)
『アマゾン無宿 世紀の大魔王』(1961)
『誇り高き挑戦』(1962)
『太平洋のGメン』(1962)
『民謡の旅 秋田おばこ』(1963)

成人映画
『危険な人妻』(1964)
『洋妾 らしゃめん』(1964)
『赤い肌の門』(1965)
『いろ地獄』(1965)
『歪んだ関係』(1965)
『餌』(1966)
『熟れた夫人の乱れ咲き』(1977)

光岡早苗は、そのキャリアを通じて様々な役柄を演じ、日本の映画史にその名を刻みました。

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