光永寺 (長崎市)

光永寺の概要

光永寺（こうえいじ）は、長崎市に所在する浄土真宗大谷派の寺院であり、その本尊として阿弥陀如来が祀られています。この寺は歴史的な背景を持ち、特に福澤諭吉が1854年から長崎に留学していた際にこの寺の庫裏に宿泊していたことが有名です。光永寺の境内は、宝暦10年（1760年）ごろには1677坪という広さがあり、長い歴史を感じさせる場所です。

歴史的背景

光永寺の起源は、慶長末年ごろに遡ります。肥前国唐津の住民である唐津九兵衛が出家し、慶西という名を名乗って浦上村で庵室を建立し、浄土真宗の布教活動を始めました。1614年、慶西は長崎奉行長谷川藤広から、かつてのサン・ジョアン・バプチスタ教会跡地を寺地として与えられ、向陽山光永寺を創建します。その後、寺は何度か移転を繰り返しました。

元和7年（1621年）には、京都本願寺から寺号の公称が許可され、寛文元年（1661年）には御坊格の資格を本山より付与されます。1663年には大火によって焼失しますが、唐人の支援を受けて1670年に再建されました。以降は、長崎会所を通じて在留唐人から毎年銀2貫目が献金され続けました。

元禄2年（1689年）には、園山善爾から明版大蔵経が寄贈されました。1775年には再度火災に見舞われ本堂が焼失しましたが、1815年に再建されました。明治時代には県議会の議場として使用されるなど、地域の重要な文化的拠点となりました。しかし1945年の原子爆弾投下によって再び大破し、解体されています。1989年に再建され、今日の姿を見せています。

寺内にある建築物・石碑

光永寺の山門は、朱印地様式で造られており、もとは桶屋町通りに面していましたが、1804年に中島川の側に移転時に新たに建築されました。山門の右側には、1937年に長崎三田会によって建立された小泉信三の筆による「福沢先生留学址」という碑が立てられ、左側には「長崎県議会開設の地」の碑も存在します。

文化12年に完成した本堂は、17間の総欅造りであったものの、原爆によって壊滅的な被害を受けました。最近の平成元年（1989年）に再建された本堂は、12間の総檜造りであり、伝統を尊重した現代的な建築です。さらに、庫裏には福澤諭吉が居住していた部屋があり、その面影を残しています。

歴代住持

光永寺の歴代住持には、初代の慶西から始まり、合計で16代の住持が存在しました。慶西は1614年から25年に亘って在住し、その他の住持たちにもそれぞれの時代において重要な役割を果たしました。福澤諭吉との繋がりもあり、特に日蔵は彼に関連する重要な家系に属していたため、光永寺は学問の場としても知られています。

結論

光永寺はその長い歴史と文化的背景から、長崎市において重要な存在です。福澤諭吉が留学時に居住した寺としての面も、今なお人々に語り継がれています。時代を超えて信仰の象徴としての役割を果たす光永寺は、訪れる人々に歴史の深さを感じさせてくれます。

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