長谷川藤広

長谷川藤広の生涯と功績

長谷川藤広（はせがわ ふじひろ）は、1567年に伊勢国一志郡で生を受け、1617年に52歳で亡くなった日本の歴史に名を刻む武将、また江戸幕府の長崎奉行として知られています。彼は父・長谷川藤直のもとに生まれ、妹には徳川家康の側室となった夏がいます。藤広は、戦国時代から江戸時代前期にかけて活躍した人物で、特に貿易や外交において重要な役割を果たしました。

登場初期は、父と共に北畠具教や長野具藤に仕官しましたが、慶長8年（1603年）からは徳川家康に仕官し、家康の信任を受けて昇進していきました。特に彼の名を世に知らしめたのは、慶長11年（1606年）に江戸幕府の長崎奉行に就任したことです。藤広は、この地位において約8年間、その任にありました。

彼在任中は、オランダやイギリスといった外国との貿易において重要な通商許可を発行し、糸割符仕法を導入しました。また、キリスト教徒の取り締まりを強化し、対外貿易の管理や西国大名に対する監視を一層厳格にし、幕府の意志を徹底しようとしました。この間、家康の指示で明からの貿易品を先買いすることを優先し、商人たちとの利害対立を引き起こしました。

特に慶長14年（1610年）、ポルトガルとの対立が深まった際、ノサ・セニョーラ・ダ・グラサ号事件が起こります。これは、貿易の利害対立が背景にあり、藤広は有馬晴信と協力してこの船を焼き討ちし、大きな国際問題を引き起こしました。この事件は、商人間での不満を招き、藤広とポルトガル側の指導者との関係に亀裂を生じさせる原因となりました。

また、藤広は有馬晴信との対立もあり、香木の伽羅の買い付けを巡って二人の間柄は険悪になり、ついには晴信が藤広を暗殺しようとしたという事件にまで発展しました。これも岡本大八事件の引き金となり、このような暗闘の中で藤広は有馬氏の所領に対しても影響力を強め、家康に働きかけて有馬の地を長崎の管轄に取り込むことを成功させました。

慶長19年（1614年）には、キリシタンの取り締まりのために約1万人を率いて行動し、教会を壊すという強硬な手段を取りました。その一方で、堺の復興に努め、堺奉行として様々な施策を実施しました。

藤広は、長崎奉行職を甥に譲り、元和3年（1617年）にこの世を去ります。享年51歳という早逝の生涯でしたが、彼の業績は後世に大きな影響を及ぼすこととなりました。その功績は、歴史的にも重要視され、近年の研究でも注目されています。彼の物語は、時代の流れに翻弄され、躍動した武士の姿を今に伝えています。彼が登場する作品として、典厩五郎の著書『NAGASAKI 夢の王国』などがあり、幅広い扱いを受けています。

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