光済 (船)

光済（こうさい）について

光済（こうさい）は、大韓帝国が1904年に建造した灯台見回り船兼税関監視船です。当初は「光済号」と呼ばれていました。日韓併合後は日本の朝鮮総督府で運用され、後に日本海軍に移管されました。太平洋戦争を生き残りましたが、最終的には座礁事故でその生涯を終えました。

大韓帝国時代の光済

光済は、大韓帝国が日本の川崎造船所に発注し、1904年に竣工しました。大韓帝国軍では2隻目の軍艦とも言われますが、主な用途は税関監視や灯台見回りで、武装も47mm速射砲2門と軽装備でした。1905年には神戸港から釜山港へ回航されました。当初はイギリス人船長や機関長が乗船していましたが、1905年末には日本人船長が着任しました。1907年時点では、乗員84名のうち、士官の大部分が日本人で占められていました。

光済は、密輸取締り、航路標識の地点選定、灯台への物資補給、漁業視察など多岐にわたる任務に従事しました。また、韓国唯一の公船として、韓国統監などの要人輸送にも利用されました。1910年8月には、韓国船として最初の無線電信設備を設置する改装工事も行われました。

朝鮮総督府での運用

1910年の韓国併合後、光済は朝鮮総督府の所属となり、「光済丸」と改名されました。引き続き、灯台などの航路標識視察や税関監視任務、海軍艦船や官庁用の無線通信業務に従事しました。1911年度の航海距離は約27,599kmにも及びました。1925年に公船としての任務は廃止され、朝鮮郵船に貸し出されました。朝鮮郵船では貨客船「咸鏡丸」と交代し、「平壌丸」とともに元山＝清津線に就航しました。しかし、同航路は1928年の鉄道開通により廃止されました。

日本海軍への移管とその後

1930年、光済は日本海軍に移管され、再び「光済」と改名されました。雑役船（曳船兼交通船）として、佐世保防備隊、後に鎮海要港部に所属し、朝鮮半島と日本本土間の連絡任務に従事しました。太平洋戦争終戦時には鎮海警備府に所属していました。戦後はGHQの管理下に入り、特別輸送艦に指定されました。1947年には救難船「栗橋」と共に輸送任務に従事しましたが、同年5月、大阪港から横須賀港へ航行中、御前崎付近で座礁し、全損となりました。

遺物

光済で使用されていた太極旗は、元乗員の愼順晟によって保管され、韓国独立後に韓国船に再度掲揚されました。その後、韓国政府へ寄贈され、仁川開港博物館に展示されています。また、速射砲の練習用擬製弾も、愼順晟の遺族から韓国政府へ寄贈され、韓国海軍士官学校の博物館に展示されています。

船長

光済の船長は以下の通りです。

磯貝正吉 少佐
河島義夫 第二復員官/第二復員事務官：1946年1月16日 - 1946年4月5日
（兼）森田禎介 復員事務官：1946年10月8日 - 1946年10月28日
（兼）鬼塚美雄 復員事務官：1946年10月28日 - 1946年11月21日
（兼）佐藤百太郎 復員事務官：1946年11月18日 - 1947年3月27日
文澤義永 復員事務官：1947年3月27日 - 1947年4月25日
* 横地鑑也 復員事務官：1947年5月6日 - 1947年7月24日

まとめ

光済は、大韓帝国時代から日本の敗戦まで、様々な役割を担った船でした。その変遷は、当時の歴史を反映しており、現在では貴重な遺物を通してその存在を偲ぶことができます。

もう一度検索