光秀のスマホ

スマホ時代劇シリーズ：歴史上の人物がスマホを持ったら？

NHKが制作する「スマホ時代劇」シリーズは、歴史上の人物が現代のスマートフォンを持っていたらどうなるか、というユニークな視点から描かれるSF時代劇です。2020年の『光秀のスマホ』を皮切りに、続々とシリーズ作品が制作されています。

斬新な設定と演出

このシリーズの最大の特徴は、物語がスマートフォンの画面遷移を中心に展開される点です。登場人物はほぼ顔を見せず、声と手のみで出演することが多く、スマートフォンの画面に表示されるSNSのタイムラインやアプリの通知を通じて、物語が進行します。この斬新な演出は、オランダ公共放送制作の短編作品『#tagged』に触発されたもので、現代のSNSやアプリを歴史的な文脈に合わせて巧みにアレンジしています。これにより、視聴者は歴史上の人物の日常を覗き見ているような感覚を味わいながら、現代社会への風刺も感じることができます。

シリーズ一覧

光秀のスマホ (2020年)

シリーズ第1作。明智光秀が織田信長に仕官するきっかけから本能寺の変に至るまでを描きます。SNSでのフォロワー数争いや、鬼電に悩む光秀の姿が、現代社会の縮図のように描かれています。この作品は、第58回ギャラクシー賞フロンティア賞や第47回放送文化基金賞奨励賞など、数々の賞を受賞しました。

土方のスマホ (2021年)

第2作では、新選組副長・土方歳三が主人公。上京したばかりの土方が、スマホを片手に倒幕派とのクソリプ合戦を繰り広げる様子が描かれています。この作品では、「史上最もチャラくて親しみやすい」土方歳三の姿が描かれます。

義経のスマホ (2022年)

第3作では、源義経がスマホ中毒の陰キャとして登場。頼朝の挙兵や平氏との戦いを、SNSでのやり取りや動画配信などを通して描いています。幼少期はキッズケータイを使用するなど、時代に合わせた演出も特徴です。

信長のスマホ (2023年)

第4作では、織田信長が主人公。「最強のパワハラ武将」として、SNSでの炎上や家臣へのパワハラを繰り返す姿が描かれています。第1作『光秀のスマホ』と同じ時間軸で物語が展開され、より深く戦国時代の人間関係が描かれています。

秀吉のスマホ (2023年)

第5作では、羽柴秀吉が主人公。信長や光秀の裏で暗躍した「陽キャ武将」として、SNS戦略とコミュ力で天下統一を目指す姿を描いています。

家康と三成のスマホ (2023年)

第6作では、徳川家康と石田三成が主人公。秀吉没後の覇権をめぐり、スマホを駆使して頭脳戦と愛憎劇を繰り広げ、関ヶ原の戦いへと至る過程を描きます。最終回は視聴者投票によって勝者が決定されるという、インタラクティブな要素も話題となりました。

紫式部のスマホ（2024年）

第7作では、紫式部が主人公。貧しい貴族の娘として生まれ、文学仲間たちと交流を深めながら『源氏物語』を書き上げる姿が描かれています。

配信について

各シリーズの放送映像は、NHKプラスやNHKオンデマンドに加え、NHK公式YouTubeチャンネルでも再編集された動画が公開されています。

まとめ

「スマホ時代劇」シリーズは、歴史と現代を融合させた斬新な設定と演出で、幅広い視聴者層を魅了しています。歴史上の人物を身近に感じさせるとともに、現代社会への風刺も盛り込まれており、単なる時代劇にとどまらない、エンターテインメント作品として楽しむことができます。

もう一度検索