児井英生

児井英生：映画界の革新者、その生涯と業績

児井英生（こい えいせい、1908年8月21日 - 1992年3月10日）は、昭和期の日本映画界において、プロデューサー、映画監督、脚本家、作詞家として多岐にわたる才能を発揮した人物です。本名は兒井 英男（こい ひでお）。大都[[映画]]では高樹 彦九郎（たかぎ ひこくろう）のペンネームを用いていました。特に、日活の契約プロデューサー時代に石原裕次郎を見出し、小林旭をスターに押し上げたことでその名を知られています。児井プロダクション代表。

生い立ちと初期のキャリア

1908年（明治41年）、兵庫県神戸市に生まれた児井英生は、鉄道院の高級官僚を父に持ち、公卿の娘を母に持つという恵まれた環境で育ちました。父の転勤に伴い東京へ移り住み、早稲田大学では法学部から政経学部、そして文学部へと興味の赴くままに学び、卒業後、映画監督の衣笠貞之助に誘われ松竹キネマに入社。その後、日活に移籍し、犬塚稔監督のもとで助監督としてキャリアをスタートさせました。初期には「佐渡情話」「清水次郎長」などの作品に携わり、映画製作の基礎を築きました。

1935年（昭和10年）には監督としてデビューを果たし、トーキー剣戟[[映画]]『敵討三都錦絵』を手がけました。初期の作品では、音楽にジャズを取り入れるなど、当時の映画界においては斬新な試みも行っています。

戦時下の活動とプロデューサーへの転身

第二次世界大戦中、児井は映画配給社の南方局に勤務し、東南アジアでの宣撫工作に従事しました。戦後、GHQによる公職追放を経験した後、新[[東宝]]で映画プロデューサーとして復帰しました。新[[東宝]]では、市川崑監督の作品や小津安二郎監督の『宗方姉妹』などを手がけ、映画プロデューサーとしての地位を確立。また、この時期に「児井英生」と改名しています。

1950年（昭和25年）には、児井プロダクションを設立し、独立プロデューサーとしての活動を開始しました。東宝では、渡辺邦男、成瀬巳喜男、溝口健二といった巨匠監督の作品をプロデュース。特に、溝口健二監督の『西鶴一代女』は、国内での興行収入は振るわなかったものの、ヴェネツィア国際[[映画祭]]で国際賞を受賞するなど、海外で高い評価を得ました。

日活での黄金時代

1954年（昭和29年）、児井は日活と契約し、活動の拠点を移しました。日活では、田中絹代監督の『月は上りぬ』をはじめ、石原裕次郎主演の『嵐を呼ぶ男』、小林旭の「渡り鳥シリーズ」、吉永小百合・浜田光夫主演の『愛と死をみつめて』など、数々の大ヒット作を連発し、一躍、ヒットメーカーとしての名声を確立しました。しかし、1960年代後半には、経営陣の交代などにより日活での立場が孤立し、1968年に日活を離れました。

その後

日活退社後は、青山プロ名義でピンク[[映画]]を製作し、これもまた大ヒットを記録。1970年（昭和45年）に映画界から引退しました。1986年（昭和61年）には、その功績が認められ、勲四等瑞宝章を受章。1992年（平成4年）3月10日、東京都渋谷区の病院で逝去しました。

人物像とエピソード

児井英生は、その慇懃無礼とも言われる丁寧な話しぶりから「公卿」「麿呂さま」という渾名で呼ばれ、寝業師、おとぼけの児井、怪人、伝説の人など、多くの異名を持ちました。また、香港赴任中にはナチス・ドイツのプロパガンダ[[映画]]を研究し、宣伝術を学んだというエピソードも残っています。

1990年には自宅が全焼し、貴重な映画資料やコレクションが失われるという災難に見舞われましたが、その波瀾万丈な人生は、多くの人々に語り継がれています。

主なフィルモグラフィー

児井英生は、監督、脚本家、プロデューサーとして、数多くの作品を手がけました。以下に主な作品を挙げます。

監督作品
『敵討三都錦絵』（1935年）
『あばれ長脇差』（1936年）
『青葉城異変』（1937年）
『戦国一番侍』（1938年）
プロデュース作品
『白い壁画』（1942年）
『宗方姉妹』（1950年）
『西鶴一代女』（1952年）
『嵐を呼ぶ男』（1957年）
* 『愛と死をみつめて』（1964年）

まとめ

児井英生は、映画監督、脚本家、プロデューサーとして、日本映画界に多大な貢献を果たした人物です。その生涯は、映画界の隆盛とともにあり、多くの才能を発掘し、数々の名作を世に送り出しました。彼の功績は、今後も語り継がれていくことでしょう。

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