児島惟謙

児島惟謙の生涯と業績

児島惟謙（こじま これかた）は、1837年に伊予国宇和島で生まれ、日本の歴史に残る裁判官および政治家として知られています。彼の名は「護法の神様」と称されるほど、司法権の独立に尽力しました。幼少期は様々な困難を経験し、母と生別、里子に出されるなど安定した家庭環境ではありませんでしたが、その後、剣術に励みながら人生を歩むこととなります。

幼少期から青年期

児島は宇和島藩士の家に生まれるも、幼少期は厳しいものでした。母との早い別離や、里子生活、父方の親戚の造酒屋での奉公など、安楽な生活とは言えませんでした。それでも、剣術の道に進み、窪田派田宮流の師範から指導を受け、修行を重ねました。この時期、彼は大阪の財界人とも交友を持つようになり、社会とのつながりを深めていきます。

政治活動と司法への道

1865年には長崎で坂本龍馬や五代友厚と友好を築き、その後脱藩して京都に身を潜めながら勤王派として活動します。戊辰戦争にも参戦し、1868年に正式に官職に就くことになります。新潟県や品川県での職務を経て、1870年には司法省へ入省し、名古屋裁判所長や長崎控訴裁判所長を歴任。1883年に大阪控訴院長となり、その後1891年には大審院長に就任しました。

大津事件と司法権の独立

1891年、児島は大審院長として「大津事件」に直面します。この事件では、ロシア皇太子が襲撃されるという重大な事態が起こり、政府は被告に大逆罪を適用することを強く求めました。しかし、児島は法の原則に基づいて、津田の行為が大逆罪に当たらないと見解を持ち、法廷での審理を主導しました。最終的に大審院は津田に謀殺未遂罪を適用し、無期懲役を宣告しました。この決定により、司法権の独立が保たれ、日本国内外から高く評価されています。

晩年と教育界への貢献

しかし、児島には影があり、1892年には賭博事件で告発され一時的に窮地に立たされますが、証拠不十分で免訴となります。それでも1894年に大審院を辞職し、その後、貴族院議員や衆議院議員を務めました。教育界には深く貢献し、同志社英学校などの発展に寄与しました。日本法律学校の設立に関与したことも、彼の影響の一部として重要です。

最後

児島惟謙は1908年に咽頭結核により死去し、72年の生涯を閉じました。彼の名は、司法権の独立を守った偉業とともに、教育界への貢献によっても語り継がれています。彼の業績は日本の法制度における重要な位置を占め、後世の人々に多大な影響を与えています。

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