勤王

勤王（きんのう）とは

勤王（きんのう、あるいは勤皇）という語は、王や天皇に対する忠誠心を示す概念です。この言葉は、特に日本やベトナムでの歴史的な運動と深く結びついています。ここでは、日本とベトナムにおける勤王運動の特徴をそれぞれ詳しく見ていきます。

日本の勤王運動

日本では、勤王運動は主に江戸時代末期にのぼります。この時期、政治体制が混乱し、さまざまな思想が蔓延していました。その中で、尊王攘夷論が特に注目され、勤王の志士たちが登場しました。

尊王攘夷論とは、天皇を尊び、外国勢力を排除することを主張する考え方です。この運動は、特に幕末における急激な社会の変化と、長い平和の時代からの変革を求める多くの志士たちの行動に結びつきました。「勤王の志士」とは、天皇に忠義を尽くし、外国の侵略に抵抗することを目的とした人たちを指します。この運動は、明治維新へとつながる重要な一歩となりました。

「きんのう」という読み方は、「きんおう」とも表記され、中音連声が用いられています。このように、日本における勤王運動は、強い尊王意識と攘夷思想が交錯した重要な時代の象徴とされています。

ベトナムの勤王運動

一方、ベトナムにおける勤王運動は、1880年代から1910年代にかけて進行しました。この運動は、フランスによる植民地支配の進行に対する抵抗として発展していきました。特に、阮朝を尊び、国の独立を取り戻すことが目指されました。

本格的な運動の始まりは、1885年に咸宜帝（ハムギ）が勤王の詔を発したことにあります。この詔は、国民に対して帝国の復興と従属からの脱却を呼びかけるものでした。運動は、フランスの支配を排除するという攘夷の意識と結びつき、多くの志士が登場しました。代表的な人物には、前期の阮碧（グエン・ビック）、武有利（ヴォ・フー・ローイ）などがいます。

後期には、潘佩珠（ファン・ボイ・チャウ）や潘伯玉（ファン・バー・ゴク）などが活動し、彼らの運動は1911年の辛亥革命を契機に新しい形に転化しました。これ以降、彼らは民主化を志向し、「越南民国」の成立を目指すようになりました。このように、ベトナムの勤王運動は、植民地支配への抵抗だけでなく、その後の民主主義への道を切り開く契機ともなったのです。

関連項目

勤王運動に関連する考え方や運動には、尊王論、土佐勤王党、精忠組、君主主義、王党派などがあります。これらは、王や天皇への忠誠を中心にした政治的な潮流や運動を形成し、多様な歴史的背景や思想が交じり合っています。

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