入会地

入会地について

入会地（いりあいち）とは、村落共同体が共有する森林や原野のことを指します。これらの土地は、村や部落が共同で利用することが認められており、主に入会山と草刈場に大別されます。入会山では薪や材木、肥料用の落葉などが採取され、草刈場では牧草や茅葺用のカヤなどが取られます。このような共同利用の習慣は、日本国内だけでなく世界各地にも存在しますが、ここでは日本の入会地について詳しく説明します。

地名の特徴

入会山は地方によって異なる名称が使用されます。例えば、カイト山、仲間山、惣山など、共同利用を示す名前が付けられることが一般的です。また、草刈場も同様に、秣場、馬草場、茅場などのように、「場」を含む名前で呼ばれることが多いです。さらに、他の村落と区別するために、内山、内野、内原といった名称が用いられることもあります。

入会権と旧慣使用権

江戸時代以前の日本において、村落共同体は入会地を自由に利用していました。しかし、土地の所有権は不明確で、藩などの管理下にあったこともありました。1872年（明治5年）、政府は土地の所有権を明確にするために地券の発行を始めました。この際、入会地は藩有地、村有地、または個人の所有物としての様々な形態に分かれました。それでも、入会地の利用習慣は続き、入会集団にはその土地を利用する権利（入会権）が認められるようになりました。

政府は藩有地を国有地へと変え、国有地においては入会権を認めないとの方針をとりました。そのため、入会集団との間での争いも続いています。また、村有地が町村合併などによってより大きな地方自治体に変わることで、入会集団が利用してきた権利を守る必要が生じました。この場合には、入会地を財産区として整備し、旧来の利用権を認める措置が取られています。

現代における入会地の位置づけ

入会地は、日本の農村において非常に重要な役割を果たしています。特に、里山の生態系の保全や地域の文化を支える存在として注目されています。入会地の適切な管理とその権利の確保は、持続可能な地域社会の構築において欠かせない要素となっています。

関連項目

• - コモンズ
• - ローカル・コモンズ
• - コモンズの悲劇
• - 森林破壊
• - 里山
• - 共有地
• - 惣村

入会地にまつわる権利関係は複雑ではありますが、地域の共同体による持続可能な利用方法を模索することは、文化の継承と環境保護の両方に貢献するものといえるでしょう。

もう一度検索