入国者収容所

入国者収容所とは

入国者収容所は、日本の出入国在留管理庁の施設の一つであり、主に出入国管理及び難民認定法（入管法）に違反した外国人や、退去強制手続きの対象となった外国人を収容する施設です。これらの施設では、対象者の送還や、必要に応じて仮放免などの措置が執られます。略称として、収容所または入管センターとも呼ばれます。

地方出入国在留管理局の収容場や、出国待機施設についても、入国者収容所と同様の役割を担っているため、この記事ではまとめて解説します。

収容の流れ

入管法に違反した外国人は、まず地方出入国在留管理局の警備部門で入国警備官による調査を受けます。その後、収容前置主義に基づき、地方入管局の収容場に収容されます。そして、入国審査官による審査や、特別審理官による口頭審理、法務大臣への異議申し立てなどの手続きが進められます。

ただし、自ら早期の出国意思を表明し、逃亡の恐れがないと判断された場合は、出国命令手続きに移行したり、在宅のまま手続きを進める仮放免措置が取られる場合があります。一方、事案の解決に時間を要すると判断された場合は、より設備が整った入国者収容所に移送され、収容が長期化することもあります。

収容者の処遇については、被収容者処遇規則によって定められています。

入国者収容所の歴史

入国者収容所は、1950年に外務省の附属機関として設置されたのが始まりです。その後、法務省の内部部局である入国管理局の附属機関となり、行政組織改革を経て、現在の出入国在留管理庁の施設等機関となっています。

当初は「○○入国者収容所」という名称でしたが、1993年以降は「入国者収容所○○入国管理センター」という名称に変更されました。

入国者収容所の組織

入国者収容所の幹部である所長や次長には、法務事務官が任命されます。また、総務や経理などの部署には、法務事務官が配置されています。診療室には医師や看護師、薬剤師が勤務していますが、医師は非常勤の場合もあります。

一方、収容者の処遇や執行を行う部門には、入国警備官が配置されています。

入国者収容所と関連施設

入国者収容所は、地方入管局の収容場や、空港・港湾の出国待機施設と合わせて「入国者収容所等」と呼ばれます。

これらの施設では、収容令書や退去強制令書に基づいて外国人が収容されています。

また、入国者収容所等の運営の適正化を目的として、第三者組織である「入国者収容所等視察委員会」が設置され、施設運営に関する意見を述べています。

主な入国者収容所

現在、日本には以下の2つの入国者収容所があります。

東日本入国管理センター
所在地：茨城県牛久市
収容定員：約700人
大村入国管理センター
所在地：長崎県大村市
収容定員：約800人

かつて存在した西日本入国管理センターは廃止されました。

その他の収容施設

地方出入国在留管理局には、以下の収容場が設置されています。

東日本地区
札幌、仙台、東京の各地方出入国在留管理局
成田、羽田、仙台の各空港の出国待機施設
西日本地区
名古屋、大阪、広島、高松、福岡の各地方出入国在留管理局
中部、関西、福岡の各空港と博多港の出国待機施設

被収容者の現状

法務省の統計によると、難民認定申請手続き中の被収容者数は年々増加しています。また、退去強制事由に該当する者については、国費による強制送還が行われています。

まとめ

入国者収容所は、日本の出入国管理を担う重要な施設です。入管法違反者の収容や送還を行うだけでなく、人道的な配慮も求められます。今後の入国管理体制を考える上で、入国者収容所の現状を理解することは非常に重要です。

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