全ウクライナ連合「自由」

全ウクライナ連合「自由」：ウクライナ極右政党の軌跡

全ウクライナ連合「自由」（ウクライナ語: Всеукраїнське Обєднання Свобода、通称スヴォボーダ）は、ウクライナの民族主義政党です。ネオナチ政党と分類されることもありますが、党自身はこれを否定しています。1995年、ウクライナ社会民族党として設立され、2004年に現在の党名に改称しました。党首はオレーフ・チャフニボークです。

党の成り立ちとイデオロギー:

スヴォボーダは、ウクライナ西部のガリツィア地方を基盤とし、ウクライナ民族主義、特にウクライナ語とウクライナ文化の重視を掲げています。ロシア系住民への排斥的な姿勢や、外国人排斥を訴えるなど、極右的な主張も一部に見られます。また、ウクライナ独立国家の理念を強く持ち、歴史的経緯を踏まえ、ロシアとの関係に慎重な立場をとっています。

政治活動と選挙結果:

2012年のウクライナ最高議会選挙では、全ウクライナ野党連合に加盟し、37議席を獲得しました。ガリツィア地方での支持率は非常に高く、キーウなどでも一定の支持を得ていました。しかし、2014年の選挙では議席を大幅に減らしました。これは、同様の主張を持つ親欧米・反ロシア政党の乱立などが要因として挙げられます。

ウクライナ情勢への関与:

2014年のウクライナ危機では、ヤツェニュク暫定政権に閣僚を複数輩出するなど、政権の中枢を担いました。しかし、国営テレビ局襲撃事件など、物議を醸す行動も起こしており、その活動は常に議論の的となっています。

2012年の政綱：

スヴォボーダの2012年の政綱は、政治、経済、社会、歴史問題、外交の各分野に渡り詳細な政策を提示していました。

政治: 地方自治拡大、行政区分改革、議会改革、共産党系政治家への対応、民族の明記、反ウクライナ主義行為の罰則化、軍隊改革など。
経済: エネルギー独立、国営化、住宅政策改革、税制改革など。
社会: 国民健康保険、健康増進、製薬業保護、国籍法改正、二重国籍禁止、移民政策など。
歴史問題: ウクライナの歴史認識の確立、ホロドモールの否定への罰則化、ソ連時代の文書公開、OUN-UPAの国民英雄化など。
* 外交: ロシアとの距離維持、EUやNATOとの関係構築、核兵器再製造など。

これらの政策は、スヴォボーダの民族主義的、反ロシア的な立場を反映しています。

議会でのトラブルと反共主義:

議会では、ロシア語の使用を巡る紛争や、激しい議論などが発生しました。また、反共主義的な立場から、共産党関係者の職務剥奪や共産主義政党の禁止などを主張しています。レーニン像破壊事件なども、その強硬な姿勢を表す出来事の一つです。

ヤツェニュク暫定政権への参加とその後:

ヤツェニュク暫定政権への参加は、スヴォボーダの政治力拡大を示しましたが、同時にその極右的なイデオロギーがウクライナ政界に与える影響についても議論を呼ぶこととなりました。テレビ局襲撃事件は、その活動に対する批判を招く結果となりました。

党青年組織の活動：

スヴォボーダの青年組織は、軍事訓練を含むサマーキャンプなどを開催しています。その活動内容については、議論と批判が交錯しています。

結論:

スヴォボーダは、ウクライナにおける民族主義と極右政治勢力の重要な一翼を担ってきました。その活動は、ウクライナ国内の政治状況、特にロシアとの関係や民族問題に大きな影響を与えています。しかし、同時にその極端な主張や行動は、国内外の批判も招いています。スヴォボーダの動向は、今後のウクライナ情勢を考える上で重要な要素であり続けるでしょう。

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