全国中等学校優勝野球大会行進歌

全国中等学校優勝野球大会行進歌

「全国中等学校優勝野球大会行進歌」は、1935年8月に行われた第21回全国中等学校優勝野球大会に合わせて作られた、日本のオーケストラによる行進曲です。この楽曲は、その後名称が「全国高等学校野球選手権大会」に変更されても、開会式の入場行進において、インストゥルメンタル版が今なお「（全国中等学校優勝野球）大会行進曲」として演奏されています。

この楽曲の作詞を担当したのは、詩人の富田砕花で、作曲は山田耕筰が行いました。大会は元々、大阪朝日新聞（現在の朝日新聞大阪本社）が主催しており、1934年には記念事業として「野球塔」が甲子園球場前に建立されました。そして、1935年の大会に向けて新たな行進歌を作ることが決まりました。行進歌製作の過程では、以前の大会歌とは異なり、一般への公募は行われず、富田に直接依頼される形で作詞が進められました。

楽曲は1935年7月29日の大阪朝日新聞で公式に発表され、日本コロムビアからはその楽曲のレコードが製造されました。このレコードには、内本実による歌唱と、コロムビア管弦楽団によるインストゥルメンタル版が収録されています。大阪朝日の記事には、この楽曲が全国で多くのファンに愛されると期待されることが記されていました。

ただし、実際の行進においては第21回大会の開会式でのみブラスバンドによる演奏が行われ、その後の大会では「行進歌」として歌唱された記録はありません。戦後の学制改革に伴い大会名は変更されましたが、行進曲はそのまま使用され続け、山田が作曲したこの行進曲は多くの人々に親しまれる存在となったのです。

富田の作詞した歌詞については徐々に忘れられた存在となってしましたが、1996年にはコロムビアにより、内本の歌唱が61年ぶりに再収録されました。その後、2004年と2010年にはそれぞれのコンピレーションアルバムに収録され、再び注目が集まりました。

甲子園での本大会において歌唱されることは未だ実現していませんが、2013年には鳥取大会の開会式で県立米子東高校の女子生徒が独唱を行うなど、地域のイベントでは歌われることがありました。こうしたエピソードを通じて、この行進歌は日本の野球文化の一部として、今もなお多くの人々の記憶に残り続けています。

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