全国協同伝道

全国協同伝道とは

全国協同伝道は、大正時代の1914年から1917年にかけて、日本のプロテスタント諸教派が共同で実施した全国規模の伝道活動です。この運動は、日本のキリスト教伝道史において非常に重要な出来事として位置づけられています。

背景

この運動の背景には、1910年にエキュメニカル運動の出発点となったエディンバラ宣教会議があります。この会議の議長であったJ・R・モットは、会議後、継続委員会の委員長に就任しました。1913年にはモットが来日し、継続委員会を基盤として、日本の教会協力組織である日本基督教会同盟と、海外の宣教団体（ミッション）との国際的な協力体制を構築しました。

運動の展開

国際的な支援を受け、3年間にわたる全国的な協力伝道が開始されました。委員長には明治学院の第2代院長である井深梶之助が、東部長には東京在住の日本基督教会富士見町教会牧師である植村正久が、西部長には大阪在住の日本組合基督教会大阪教会牧師である宮川経輝が就任しました。

この運動では、各教派から代表的な伝道者が動員され、全国の都市から町村に至るまで、数多くの伝道集会が開催されました。特に、以下のような多様な集会が開かれたことが特徴的です。

女学生大会：女子学生を対象とした集会
映画伝道：映画を用いた伝道活動
婦人大会：女性を対象とした集会
会社店大会：企業や商店の従業員を対象とした集会
教育者大会：教育関係者を対象とした集会
禁酒大演説：禁酒を訴える演説会
学生大会：学生を対象とした集会
矯風大会：社会風俗の改善を目的とした集会
実業者大会：実業家を対象とした集会
名士招待会：各界の著名人を招待した集会

これらの集会は、キリスト教の教えを広めるだけでなく、当時の社会問題に対する啓発活動としての側面も持っていました。全国各地で同時多発的に展開されたこの運動は、多くの人々にキリスト教への関心を抱かせ、その後の日本のキリスト教界に大きな影響を与えました。

参考文献

* 小野静雄『日本プロテスタント教会史』 聖恵授産所、1986年

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