エディンバラ宣教会議

エディンバラ宣教会議とは

エディンバラ宣教会議（1910 World Missionary Conference）は、1910年6月14日から23日にかけてスコットランドのエディンバラで開催された、キリスト教の宣教に関する国際会議です。この会議は、エキュメニカル運動（教会一致運動）の出発点として位置づけられており、世界中のキリスト教宣教の将来について重要な議論が行われました。古い訳では万国基督教宣教師大会とも呼ばれます。この会議での決議が、日本の東京女子大学設立につながったことでも知られています。

会議の歴史的背景

1910年の会議には、アメリカとイギリスを中心に1300人を超える代表者が集まりました。会議では、異教世界への福音宣教、宣教地における教会形成、宣教師の養成、宣教における協力と一致などが主要なテーマとして取り上げられました。日本からは、宣教師ウィリアム・インブリー、本多庸一（日本メソジスト教会監督）、井深梶之助（明治学院院長）、原田助（同志社社長）、J.D.デイヴィスらが参加しました。

会議の結果、継続委員会が設立され、協議内容が継続的に検討・実行されることになりました。会議の議長は、ジョン・モットが務めました。しかし、この会議を契機として、エキュメニカル派（リベラル派）と福音派（聖書信仰）の間の対立が明確になったとされています。

会議後の動き

エディンバラ宣教会議の後、[1921年]]には国際宣教協議会(ICM)が設立され、1948年には世界教会協議会]が発足し、世界宣教の連携と強化が進められました。[[2010年には、エディンバラ宣教会議100周年を記念し、東京で世界宣教東京大会が開催されました。

福音派の見解

世界教会協議会（WCC）がリベラル派の影響下にあると見なされるようになったため、福音派はWCCとの協力に距離を置くようになりました。エディンバラ宣教会議の組織的な後継者はWCCとされていますが、宣教の精神においては、福音派のローザンヌ世界宣教会議がその遺志を受け継いでいると主張されています。福音派は、エキュメニカル運動が教義を軽視し、教会の一致を追求するあまり、教派を解消しようとしていると批判しています。対照的に、福音派は、新生したクリスチャンの間には既に一致が与えられているとし、正統的な教義を重視しています。ホーリネス系の神学者である上中栄は、教派の独自性を定めるのは職制や信仰告白であるとし、教派の否定は教会の存在意義を損なうと指摘しています。

会議の主要テーマ

エディンバラ宣教会議では、以下のテーマが議論されました。

異教世界への福音宣教
宣教地における教会形成
宣教と教育
宣教と他宗教との関係
宣教師の養成
宣教の基盤としての教会
宣教と政治との関係
宣教における協力と一致

また、会議では「継続委員会の設置」、「キリスト教協議会の発足」、「国際宣教協議会の設置」が決議されました。

参考資料

宇田進『福音主義キリスト教と福音派』いのちのことば社
中村敏『世界宣教の歴史』いのちのことば社、2006年。ISBN 978-4-264-02422-4。
栗林輝夫・西原廉太・水谷誠『総説キリスト教史3(近・現代篇)』日本キリスト教団出版局、2007年
同志社五十年史編纂委員会「同志社五十年史」1930年、doi:10.11501/1141454。
同志社々史々料編纂所 『同志社九十年小史』 学校法人同志社、1965年

外部リンク

神田健次「基督教教育同盟会の設立とエキュメニカル運動」『神学研究』第55号、関西学院大学、2008年3月、63-80頁、ISSN 05598478、NAID 110007153279。

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