柳井政雄

柳井政雄の生涯

柳井政雄（やない まさお）は、1908年2月15日に山口県吉敷郡小郡町（現・山口市小郡）で生まれました。彼は部落解放運動家、実業家、政治家、そしてヤクザとしての側面を持ちながらも、後にユニクロの前身となる小郡商事の代表者として広く知られることになります。政雄の家系は、商業に従事する家族であり、彼は四男として育ちました。

彼は、尋常高等小学校を1年で中退し、父の手伝いを始めますが、兄が働いている京都の食堂へと移り、そこで働くことになりました。しかし、食堂でのトラブルから故郷に戻り、宇部市の炭鉱で働くうちにヤクザの道へ足を踏み入れました。彼のヤクザ時代は、抗争や暴力に彩られたもので、1931年には小月競馬場での事件で切腹を試みるなど、過激な行動を繰り広げました。

1932年、刑務所から出所後、彼はヤクザ活動から足を洗い、実業家への道を歩み始めます。叔父の柳井傳一から資金を得て、喫茶店を購入し、そこから事業を拡大して成功を収めました。1946年には日本社会党の公認で山口市議に当選し、地元政治への関与を深めていきます。彼はヤクザや警察とのつながりを持ち、「大政」と呼ばれる存在となりました。

政雄はもともと部落解放運動に否定的でしたが、議員に当選した後に転向し、自らの事業利益を被差別部落の改善に使うようになりました。1947年には部落解放全国委員会の山口県連合会を結成し、同和予算の獲得に成功します。しかし、彼はその後、日本社会党内部の方針に反発し除名処分を受けました。このような経歴の中で、彼は同和運動に対する不正行為や権力に迎合する行動も指摘されました。

1960年には、全日本同和会を結成し会長に就任。この団体は保守系の同和団体として活動を展開し、同和対策事業の特別措置法に尽力しました。ただし、彼は部落差別への捉え方に関して物議を醸し出す言動もあり、市議への暴力行為も記録されています。

実業家としては、小郡商事をはじめ、数多くの企業を運営しました。甥の柳井正も政雄の影響を受けて実業に関わり、後にユニクロを創業することになります。ユニクロの起源には政雄が1950年代に設立した小郡商事が関与しており、柳井正の事業のバックグラウンドとして知られています。

柳井政雄は1970年代に不正融資に関与し、責任を問われることもありましたが、彼の影響力や人脈はその後も続きました。彼の人生にはかなりの波乱があり、1998年に90歳で亡くなるまで、政治と実業両面で活動していました。

柳井政雄の著作には『同和運動の歩み』があり、彼の活動と思想が記された一部となっています。彼の生涯は、政治、経済、及び社会運動が絡み合う複雑な側面を持ち、今日の日本社会にも影響を与えています。

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