全日本学生キックボクシング連盟

全日本学生キックボクシング連盟（ぜんにほんがくせいキックボクシングれんめい）は、University Kickboxing Federationの略称UKFとしても知られる、日本の学生キックボクシング界を統括する中心的な組織です。

設立と歩み

この連盟は、キックボクシングが社会現象となるほど注目を集めていた1970年代初頭、具体的には1972年10月にその第一歩を踏み出しました。設立の契機となったのは、日本大学、専修大学、帝京大学、拓殖大学、東海大学という五つの大学間で行われた交流試合でした。この連盟の設立には、当時日本大学キックボクシング部の初代主将を務め、後にキックボクサー、空手家としても知られる山崎照朝氏が多大な尽力を果たしています。

連盟発足後、まもなく主要な活動の柱となる全日本学生キックボクシング選手権大会が始まりました。最初の公式大会である第1回秋季大会は1973年11月に開催され、以来、毎年春と秋の年二回、歴史ある格闘技の聖地、後楽園ホールにて開催されています。特に秋季選手権では、各階級の頂点を争うチャンピオン決定戦が行われ、多くの学生キックボクサーが栄光を目指します。連盟は着実に歴史を重ね、2009年春には記念すべき第70回大会を迎えるなど、長年にわたり学生スポーツとしてのキックボクシングを牽引してきました。

競技規則と安全性

学生キックボクシング連盟が定めるルールは、基本的に防具を着用しない形式で行われます。競技中には、パンチ、蹴り技、そして首相撲からの攻撃が認められています。試合の基本的な構成は、1ラウンド3分、全3ラウンド制を採用しています。

プロのキックボクシングとの大きな違いとして、学生の試合では肘打ちと上段への膝蹴りが禁止されています。これは、学生スポーツとしての安全性を重視した措置です。連盟は、選手の健康管理と安全確保に極めて厳格な基準を設けています。メディカルチェックやCTスキャンによる検査、適切な減量に関する指導、安全に関する講習会などが義務付けられており、これらの安全管理体制はプロのレベルと比較しても遜色ない、あるいはそれ以上の厳重さであると言えます。

大会形式と影響

全日本選手権では、個人戦として各選手の勝敗が競われます。同時に、各大学の所属選手の成績をポイントに換算し、大学ごとの総獲得ポイントで勝敗を競う団体戦形式も採用されており、大学の威信をかけた戦いが繰り広げられます。後楽園ホールで開催される試合、特にチャンピオン決定戦などは、大学対抗という側面もあって学生キックボクシングならではの盛り上がりを見せ、特定のファン層が存在します。

この連盟で技を磨き、各階級の王者に輝いた学生の中には、卒業後にプロの世界へ進み、国内外で活躍する選手も数多くいます。これは、連盟の高い競技レベルと育成力の証と言えるでしょう。著名なOBには、土屋ジョー氏、小笠原仁氏、城戸康裕氏、江畑佳代子氏（女子ボクシングで世界王者）など、キックボクシングだけでなく様々な分野で実績を残している人物が含まれます。

連盟はOBとの繋がりも大切にしており、2013年11月30日には東京都内で40周年記念祝賀会が盛大に開催されました。この会には、設立者である山崎照朝氏をはじめ、日本のキックボクシング創始者である野口修氏、そして多くの卒業生が出席し、連盟の歴史と功績を祝い、今後の発展を誓いました。

現在、連盟には日本大学、国士舘大学、東海大学など、多数の大学が加盟しており（2019年時点）、過去には学習院大学や帝京大学なども名を連ねていました。全日本学生キックボクシング連盟は、学生スポーツとしての健全な発展と、将来プロとして活躍する人材の育成に貢献し続けています。

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