全米批評家協会賞

全米批評家協会賞 (National Book Critics Circle Awards) は、アメリカを代表する文学賞の一つです。全米批評家協会 (National Book Critics Circle: NBCC) が毎年、英語で出版された優れた書籍を表彰するために授与しています。

賞の部門と歴史

この賞は、小説、ノンフィクション、詩、回顧録・自叙伝、伝記、批評の6部門で構成されています。小説、ノンフィクション、詩、批評の4部門は、創設以来継続して表彰されています。回顧録・自叙伝と伝記は、1983年から2004年までは一つの部門として表彰されていましたが、その後は2部門に分けられました。

さらに、2014年からは、NBCCの創設メンバーであり文芸批評家でもあった故ジョン・レナードに敬意を表して、「ジョン・レナード賞」が新設されました。これは6部門すべてを対象とした「処女作」に贈られる特別な賞です。

各部門の受賞作品一覧

以下は、各部門の過去の受賞作品一覧です。リストは網羅的ではなく、特に近年の受賞作品を重点的に掲載しています。

小説部門

1976年: E・L・ドクトロウ『ラグタイム』
1978年: トニ・モリスン『ソロモンの歌』
1979年: ジョン・チーヴァー『橋の上の天使』
1980年: トーマス・フラナガン『フランス人の年』
1981年: ジョン・アップダイク『金持になったウサギ』
1983年: ウィリアム・ケネディ『黄昏に燃えて』
1984年: ルイーズ・アードリック『ラブ・メディスン』
1985年: アン・タイラー『アクシデンタル・ツーリスト』
1987年: フィリップ・ロス『背信の日々』
1989年: E・L・ドクトロウ『ビリー・バスゲイト』
1990年: ジョン・アップダイク『さようならウサギ』
1991年: ジェーン・スマイリー『大農場』
1992年: コーマック・マッカーシー『すべての美しい馬』
1993年: アーネスト・J・ゲインズ『ジェファーソンの死』
1994年: キャロル・シールズ『ストーン・ダイアリー』
1999年: ジョナサン・レセム『マザーレス・ブルックリン』
2000年: ジム・クレイス『死んでいる』
2001年: W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』
2002年: イアン・マキューアン『贖罪』
2003年: エドワード・P・ジョーンズ『ザ・ノウン・ワールド』
2004年: マリリン・ロビンソン『ギレアデ』
2005年: E・L・ドクトロウ『ザ・マーチ』
2007年: ジュノ・ディアズ『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』
2008年: ロベルト・ボラーニョ『2666』
2009年: ヒラリー・マンテル『ウルフ・ホール』
2010年: ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』
2011年: イーディス・パールマン『双眼鏡からの眺め』
2012年: ベン・ファウンテン『ビリー・リンの永遠の一日』
2013年: チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』
2014年: マリリン・ロビンソン『ライラ』
2015年: ポール・ビーティー『ザ・セルアウト』
2016年: ルイーズ・アードリック『ラローズ』
2017年: Joan Silber 『Improvement』
2018年: アンナ・バーンズ『ミルクマン』
2019年: エドウィージ・ダンティカ『Everything Inside』
2020年: マギー・オファーレル『ハムネット』
2021年: Honorée Fanonne Jeffers 『The Love Songs of W.E.B. Du Bois』
2022年: Ling Ma 『Bliss Montage』
2023年: Lorrie Moore 『I Am Homeless if This Is Not My Home』

ノンフィクション部門

1976年: R・W・B・ルイス『エディス・ウォートン伝』
1977年: マキシーン・ホン・キングストン『チャイナタウンの女武者』
2005年: スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ『チェルノブイリの祈り』
2010年: イザベル・ウィルカーソン『ザ・ウォームス・オブ・アザー・サンズ』
2015年: サム・クイノーンズ『ドリームランド』
2016年: マシュー・デスモンド『エクティクテッド』
2017年: フランシス・フィッツジェラルド『エヴァンジェリカルズ』
2018年: Steve Coll 『ディレクターズS』
2019年: Patrick Radden Keefe 『セイ・ナッシング』
2020年: Tom Zoellner 『アイランド・オン・ファイア』
2021年: クリント・スミス『ハウ・ザ・ワード・イズ・パスト』
2022年: Isaac Butler 『ザ・メソッド』
2023年: Roxanna Asgarian 『We Were Once a Family』

伝記部門 (2005年～)

2005年: カイ・バード、マーティン・シャーウィン『オッペンハイマー』
2010年: サラ・ベイクウェル『モンテーニュの生涯』
2013年: レオ・ダムロッシュ『ジョナサン・スウィフト』
2014年: ジョン・ラー『テネシー・ウィリアムズ』
2015年: シャーロット・ゴードン『ロマンティック・アウトロー』
2016年: ルース・フランクリン『シャーリー・ジャクソン』
2017年: キャロライン・フレイザー『プレーリー・ファイアーズ』
2018年: Christopher Bonanos 『フラッシュ』
2019年: Josh Levin 『ザ・クイーン』
2020年: Amy Stanley 『ストレンジャー・イン・ザ・ショーグン・シティー』
2021年: Rebecca Donner 『オール・ザ・フリークエント・トラブルズ・オブ・アワー・デイズ』
2022年: Beverly Gage 『ジーマン』
2023年: Jonny Steinberg 『ウィニー・アンド・ネルソン』

自叙伝部門 (2005年～)

2005年: フランシーヌ・デュ・プレシックス・グレイ『ゼム』
2006年: Daniel Mendelsohn 『ザ・ロスト』
2007年: エドウィージ・ダンティカ『愛するものたちへ、別れのとき』
2008年: Ariel Sabar 『マイ・ファーザーズ・パラダイス』
2009年: Diana Athill 『サムウェア・トウワーズ・ジ・エンド』
2010年: ダリン・ストラウス『ハーフ・ア・ライフ』
2011年: Mira Bartók 『ザ・メモリー・パレス』
2012年: リアン・シャプトン『スイミング・スタディーズ』
2013年: エイミー・ウィレンツ『フェアウェル、フレッド・ヴードゥー』
2014年: ロズ・チャスト『キャント・ウィー・トーク・アバウト・サムシング・モア・プレザント？』
2015年: マーゴ・ジェファーソン『ネグロランド』
2016年: ホープ・ヤーレン『ラボ・ガール』
2017年: Xiaolu Guo 『ナイン・コンチネンツ』
2018年: Nora Krug 『ベロンギング』
2019年: Chanel Miller 『ノウ・マイ・ネーム』
2020年: キャシー・パーク・ホン『マイナー・フィーリングズ』
2021年: Jeremy Atherton Lin 『エイ・バー』
2022年: Hua Hsu 『ステイ・トゥルー』
2023年: Safiya Sinclair 『ハウ・トゥ・セイ・バビロン』

詩部門

2009年: Rae Armantrout 『ヴァースド』
2014年: Claudia Rankine 『シチズン』
2015年: Ross Gay 『カタログ・オブ・アナバッシュド・グラティテュード』
2020年: Francine J. Harris 『ヒア・イズ・ザ・スウィート・ハンド』
2021年: Diane Seuss 『フランク』
2022年: Cynthia Cruz 『ホテル・オブリーヴィオン』
2023年: 金惠順『ファントム・ペイン・ウィングス』

批評部門

2009年: ユーラ・ビス『ノーツ・フロム・ノーマンズランド』
2010年: Clare Cavanagh 『リリック・ポエトリー・アンド・モダン・ポリティクス』
2013年: フランコ・モレッティ『ディスタント・リーディング』
2014年: エレン・ウィリス『ジ・エッセンシャル・エレン・ウィリス』
2015年: マギー・ネルソン『ユー・プレイ・ザ・ガール』
2016年: キャロル・アンダーソン『ホワイト・レイジ』
2017年: カリーナ・チョカーノ『ジ・アルゴーナッツ』
2018年: ゼイディー・スミス『フィール・フリー』
2019年: Saidiya Hartman 『ウェイワード・ライブズ、ビューティフル・エクスペリメンツ』
2020年: Nicole R. Fleetwood 『マーキング・タイム』
2021年: Melissa Febos 『ガールフッド』
2022年: Timothy Bewes 『フリー・インダイレクト』
2023年: Tina Post 『デッドパン』

ジョン・レナード賞

2013年: Anthony Marra 『コンステレーション・オブ・ヴァイタル・フェノメナ』
2014年: Phil Klay 『リデプロイメント』
2015年: Kirstin Valdez Quade 『ナイト・アット・ザ・フィエスタス』
2016年: ヤア・ジャシ『ホームゴーイング』
2017年: カルメン・マリア・マチャド『ハー・ボディ・アンド・アザー・パーティーズ』
2018年: Tommy Orange 『ゼア・ゼア』
2019年: Sarah M. Broom 『ザ・イエロー・ハウス』
2020年: Raven Leilani 『ラスター』
2021年: Anthony Veasna So 『アフターパーティーズ』
2022年: Morgan Talty 『ナイト・オブ・ザ・リビング・レズ』
* 2023年: Tahir Hamut Izgil 『ウェイティング・トゥ・ビー・アレスティッド・アット・ナイト』

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