全米研究評議会

全米研究評議会（NRC）は、アメリカ合衆国の科学技術政策において中心的な役割を担う学術機関です。1916年の設立以来、その活動は多岐に渡り、科学技術の発展に大きく貢献してきました。

NRCは、National Research Councilという名称で知られていますが、日本語表記は統一されておらず、「アメリカ研究審議会」、「米国研究協議会」、「米国調査研究評議会」、「全米研究委員会」など、複数の訳語が存在します。

この機関の特筆すべき点は、全米科学アカデミー（NAS）、全米技術アカデミー（NAE）、全米医学アカデミー（NAM）という3つの主要な学術機関の実働部隊として機能している点です。NASは1863年、NAEは1964年、NAMは1970年にそれぞれ設立され、それぞれの分野における卓越した研究者や専門家によって構成されています。NRCは、これら3アカデミーからの委託を受け、具体的な調査研究や政策提言を行うことで、アカデミー全体の活動を支えています。これら4つの組織は、まとめて「全米アカデミーズ（National Academies）」と呼ばれ、アメリカ合衆国における科学技術政策の中核を担っています。

NRCの活動内容は非常に多様であり、科学技術に関するあらゆる分野を網羅しています。例えば、エネルギー、環境、健康、教育など、社会の重要な課題に関する調査研究を行い、その結果に基づいて政策提言を行います。これらの提言は、政府機関や産業界、学術界など、幅広い関係者に影響を与え、アメリカ合衆国の科学技術政策の決定に重要な役割を果たしています。

また、NRCは、科学技術に関する情報の収集・発信にも積極的に取り組んでいます。専門家による報告書の作成や、公開セミナー・ワークショップの開催などを通して、科学技術に関する知識の普及に貢献しています。これらの活動は、国民の科学リテラシーの向上や、科学技術政策に対する理解の促進に役立っています。

NRCの事務局は、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.に置かれています。この地は、アメリカ合衆国における政治・経済の中心地であり、政府機関や学術機関が集積していることから、NRCの活動にとって最適な立地と言えるでしょう。

このように、NRCは、アメリカ合衆国の科学技術政策をリードする重要な機関として、その役割を果たしています。今後も、科学技術の進歩に貢献し、社会の発展に寄与していくことが期待されています。

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