兪山

兪山（ゆ さん）は、明代に活躍した官僚であり、その生涯は1399年から1457年まででした。字（あざな）は積之（せきし）、号（ごう）は梅荘（ばいそう）と称しました。本貫は嘉興府秀水県（現在の浙江省嘉興市）にあります。

生涯

1399年6月4日、兪山は兪璿（ゆ せん）と王氏の間に生まれました。1427年、彼は太学に入学し、学問の道を歩み始めました。1440年には、その才能を認められ、郷挙によって郕王府（せいおうふ）の伴読（はんとう）という要職に任命されました。伴読とは、王族の教育係であり、学識だけでなく人格も優れた人物が選ばれるものでした。

その後、兪山は官僚としてのキャリアを積み重ねていきます。1449年9月には、鴻臚寺（こうろじ）の左丞（さじょう）に転じました。鴻臚寺は、外交や儀礼を司る重要な役所であり、左丞は次官に相当する役職です。翌1450年1月には、鴻臚寺左少卿（さしょうけい）に進み、さらに9月には吏部（りぶ）の右侍郎（うじろう）に転任しました。吏部は、官吏の人事を担当する役所であり、右侍郎は次官クラスの役職です。

1451年7月、兪山は吏部左侍郎（さじろう）へと昇進しました。これは、吏部において右侍郎よりも上位の役職であり、彼の官僚としての地位がさらに高まったことを示しています。しかし、この時期には、政治的な混乱も起こっていました。景泰帝（けいたいてい）が皇太子の廃立を計画したのです。この計画に対して、兪山はひそかに上疏（じょうそ）し、諫言を行いました。上疏とは、君主に対して意見を述べることであり、臣下としての忠誠を示す行為です。しかし、彼の諫言は受け入れられず、皇太子の廃立は実行に移されてしまいました。

1452年、朱見済（しゅ けんさい）が新たな皇太子に立てられると、兪山は太子少傅（たいししょうふ）という位を加えられました。太子少傅は、皇太子の教育係であり、その人格形成に大きな影響を与える役職です。しかし、1455年7月、兪山は致仕（ちし）し、官を辞して引退しました。致仕とは、高齢や病気などを理由に官職を辞めることです。

1457年10月9日、兪山は59歳で亡くなりました。彼の著書として『梅荘集（ばいそうしゅう）』がありました。これは、彼の文学的な才能を示すものであり、彼の死後も後世に伝えられました。

子女

兪山には、三人の息子がいました。

長男：兪謨（ゆ ぼ）
次男：兪誥（ゆ こう）。工科給事中（こうかきゅうじちゅう）・沂州通判（ぎしゅうつうはん）を務めました。
三男：兪諫（ゆ かん）

脚注

参考文献

『明史』巻152 列伝第40
* 吏部侍郎兪公墓表（徐紘『明名臣琬琰録』巻3所収）


兪山は、その官僚としての卓越した能力と、景泰帝の皇太子廃立計画に反対した高潔さから、後世にまでその名を知られる人物です。また、文人としても才能を発揮し、著書『梅荘集』を残したことからも、彼の多才ぶりがうかがえます。

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