侍郎

侍郎（じろう）は、中国の官僚制度において古くから存在する役職名です。その起源は漢代に遡り、時代とともに職務内容や役割を変えながらも、20世紀初頭まで用いられました。

概要

侍郎は、漢代においては郎官の一種であり、元々は宮廷に近侍する役職でした。しかし、後[[漢]]時代以降、尚書の属官としての性格を強め、その地位も変化していきます。具体的には、まず郎中に任じられ、一年間の勤務を経て尚書郎となり、さらに三年間の勤務を経て侍郎へと昇進するという過程を経ていました。尚書台の権限が拡大するにつれて、侍郎の重要性も増していきました。

隋・唐の時代になると、中央に戸部・礼部・刑部・工部・吏部・兵部の六部が設置され、国家の政務を分担して司るようになりました。各部にはそれぞれ一名の侍郎が置かれ、尚書を補佐し、事務の執行を監督する役割を担いました。この時代の侍郎は、現代の政府における次官に相当すると言えるでしょう。また、中書省の副官は中書侍郎、門下省の副官は門下侍郎（黄門侍郎）と呼ばれていました。

宋朝、元朝、明朝、清朝の時代にも、侍郎の制度は基本的に踏襲されました。明朝を開いた朱元璋は、1368年に六部の侍郎の位階を正三品に引き上げました。清朝も明朝の制度を多く引き継ぎ、各部に左右侍郎を設置し、それぞれ満洲人と漢人を一人ずつ任命しました。また、六部の各部には侍郎（満洲語: ashan i amban）を四人配置しました。その位階は従二品でした。

侍郎は、中国の官僚制度において、時代を超えて重要な役割を果たした役職であり、その変遷を辿ることは、中国の政治史を理解する上で不可欠な要素と言えるでしょう。

関連項目

* 三省六部

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