八ヶ郷用水

八ヶ郷用水

八ヶ郷用水は、長野県中野市に位置する重要な農業用水路です。この用水は、中野市内の広大な農地、具体的には221ヘクタールの水田と294ヘクタールの畑を灌漑し、農業生産を支える重要な役割を担っています。

水源と水路

八ヶ郷用水の水源は、山ノ内町の志賀高原にあります。大沼池から流れ出る横井川と、横手山ガラン沢からの湧水を集めた寒沢堰からの水が角間川に流れ込み、これらが合流して夜間瀬川となります。八ヶ郷用水は、夜間瀬川にかかる夜間瀬橋付近に設けられた取水口から取水され、分水タンクへと導かれます。

八つの堰への分水

分水タンクでは、取水された水は八つの堰、すなわち更科堰、小田中堰、中野堰、西条堰、吉田堰、一本木堰、若宮堰、竹原堰へと分配されます。これらの堰は、それぞれが特定の地域を灌漑し、農業用水を供給しています。この八つの堰が、八ヶ郷用水の名前の由来である八つの郷村、更科、小田中、西条、吉田、一本木、若宮、竹原、中野を潤しているのです。

水利権

夜間瀬川の水利権は、下流に位置する中野市、具体的には中野市八ヶ郷土地改良区が保有しています。この水利権は、地域における農業用水の安定的な供給を保証する上で重要な役割を果たしています。

中野八ヶ郷水利史

八ヶ郷用水の歴史と、その水利権の重要性を後世に伝えるために、中野市八ヶ郷土地改良区は「中野八ヶ郷水利史」を発刊しました。この資料は、地域の水利の歴史と、水が地域社会に与えてきた影響を理解する上で貴重な情報源となっています。

疎水百選

八ヶ郷用水は、その歴史的、文化的価値が認められ、2006年には農林水産省の「疎水百選」に選定されました。この選定は、八ヶ郷用水が単なる農業用水路ではなく、地域社会の重要な遺産であることを示しています。また、この選定を機に、周辺のウォーキングコースも整備され、地域住民や観光客に親しまれています。

分水タンクの所在地

八ヶ郷用水の取水口にある分水タンクは、幅約50メートルと広大で、一本木区、栗和田区、竹原区の境界に位置しています。この場所は、松崎と呼ばれており、地域の人々にとって重要な場所となっています。

地域住民によるドンドン焼き

毎年、八ヶ郷用水の取水口付近では、一本木区、栗和田区、竹原区の有志によって、ドンドン焼きという伝統的な行事が行われています。この行事は、地域の結束を強め、伝統文化を継承する上で重要な役割を果たしています。

まとめ

八ヶ郷用水は、中野市の農業を支えるだけでなく、地域社会の歴史や文化とも深く結びついた存在です。その水は、地域の人々の生活を潤し、豊かな農作物を育む源となっています。この用水は、これからも地域社会にとってかけがえのない存在であり続けるでしょう。

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