八千代緑が丘車両基地

八千代緑が丘車両基地は、千葉県八千代市大和田新田および吉橋に跨る広大な敷地に設けられた、東葉高速鉄道の重要な施設です。同社の保有車両の保管や日常的な検査、整備などが行われています。

概要

この車両基地は、東葉高速線の開業に先立つ1990年（平成2年）に、八千代緑が丘駅の北東エリアに完成しました。実際に使用が開始されたのは、東葉高速線が開業した1996年からです。八千代緑が丘駅からは、複線の専用線路が分岐しており、基地への入出庫経路となっています。この入出庫線は約1.57キロメートルの長さを持ち、最大40‰（パーミル）という鉄道線としては比較的急な勾配区間を含んでいます。

敷地面積は約12万7,000平方メートルに及び、当初計画では最大170両まで対応可能な容量を見込んでおり、現在はおよそ120両の車両を収容することができます。計画段階では、敷地内で車両のより詳細な整備を行うための工場や、車輪を削って形状を整えるための設備（車輪転削盤）を設置する予定でした。しかし、開業に伴う建設コストを抑制するため、重要な部品の検査や車両全体の検査、および車輪削正といった作業は、営団地下鉄（現在の東京メトロ）へ業務委託することになりました。

沿革

1990年: 東葉高速鉄道の車両基地として竣工しましたが、路線の開業が度々延期されたため、しばらくは使われない状態でした。
1996年: 東葉高速線の開業と同時に、車両基地としての運用を開始しました。開業当初は、営団地下鉄から譲り受け、改造を施した1000形車両が配置されました。
2001年: 開業5周年を記念して、初めて車両基地を公開するイベント（車両フェスタ）が開催されました。
2004年: 開業当初から使用されてきた1000形車両を置き換える目的で、新型の2000系車両が導入され始めました。この車両は日立製作所のA-trainコンセプトに基づき製造され、仕様は東京メトロN05系に準じています。合計11編成が投入されました。
2006年: 2000系への置き換えが完了し、1000形車両が全車引退しました。
2009年以降: 路線開業10周年を記念して、以降毎年「東葉の日」（10月4日）に近い時期に「家族車両基地まつり」といった公開イベントが開催されました。

構内設備

八千代緑が丘車両基地では、車両の運行に必要な日常的な検査である月検査や列車検査が実施されています。より大規模な重要部検査や全般検査については、東京メトロの深川工場に委託されています。

基地の構内は、東側から以下のような設備配置となっています。

1・2番線: 基本的な留置や入換に使用されます。
検修線・検修場: 1番線から分岐しており、比較的小規模な修理や調整を行うための検修場が設けられています。
仕業棟・仕立棟: 検修庫内にあり、車両の日常的な整備や清掃などを行います。
3 - 4番線: 車両の手洗浄作業を行うための作業台が設置されています。
5 - 8番線: 主に車両の留置に使用されます。
9 - 13番線: 将来的な車両数の増加に備え、増設が可能なスペースとして計画されています。
14 - 17番線: 基地の入口付近にあり、車両の自動洗浄機が設置されています。
留置線: 将来的に車輪転削盤が設置される予定のスペースを含む、その他の留置用の線路群です。

また、基地の西側には、保線作業に使用されるモーターカーを保管するための車庫が2ヶ所設けられています。基地の南側には広大な空き地が広がっており、これは当初計画されていた整備工場や車両更新修繕場の建設用地として確保されていた場所です。

配置車両

当車両基地には、東葉高速鉄道の営業用車両である2000系が配置されています。

2000系: 2004年から2006年にかけて製造された車両で、10両編成11本、合計110両が所属しています。これらの車両は主に八千代緑が丘車両基地に留置されますが、一部の編成は東京メトロの深川工場に留置されることもあります。深川工場に留置されたり、整備・検査のために定期的に回送されたりしています。

この他に、保線作業用のマルタイ（マルチプルタイタンパー）といった事業用車両も留置されています。

過去の配置車両

1000形: 1995年に営団地下鉄から譲り受けた5000系を通勤車両向けに改造した車両です。10両編成12本が譲受されましたが、うち2本は改造が中止され部品取りとなりました。実際に営業運転に使用されたのは10両編成10本、合計100両でした。2000系車両の導入に伴い、2005年から2006年にかけて順次廃車されました。

アクセス

八千代緑が丘車両基地へは、八千代緑が丘駅の北口から向かうことができます。駅を出て北へ進み、駅からの分岐線路に突き当たった後、線路に沿ってさらに北方向へ進むと南側の入口があります。この入口の手前にある歩道橋で線路を渡り、基地の東側に沿って線路脇を進むと東側の入口に到達します。ただし、東側入口に至るルートには交通量の多い大通りがあるため、注意が必要です。基地の構外からは東側の様子をある程度確認できますが、西側全体を見るためには基地の構内に入る必要があります。

なお、南側入口から基地の西側に沿って花輪川方面へ進むルートは、高い壁や柵で覆われているため、基地の内部を見ることはできません。

その他

八千代緑が丘車両基地は、テレビドラマや特撮番組のロケーションとしても使用されたことがあります。例えば、2012年1月放送のフジテレビ系ドラマ『ストロベリーナイト』の第1話や、2015年1月放送のテレビ朝日系スーパー戦隊シリーズ『烈車戦隊トッキュウジャー』の最終話で、基地へのアクセス線などが撮影に使われました。

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