部品取り

部品取りの概念

部品取り（ぶひんとり）とは、故障や破損によって機能しなくなった工業製品を、他の製品の部品供給源として保管することを指します。多くの場合、自動車や鉄道車両、航空機などの工業製品が対象になり、使用されていない状態で保管されることが一般的です。特に古いモデルの場合、保守部品が入手しづらくなることが多く、こうした状況で部品取りが行われます。

自動車における部品取り

自動車の場合、廃車となったり、走行不能になった車両が部品取り車として扱われます。特に日本では、2005年に施行された自動車リサイクル法により、廃車の際の処理費用がユーザーの負担となり、そのため多くの車両が部品取りへと回される傾向があります。自動車の外装部品や機能部品は、愛好者の手によって早期に流用されるため、部品取り車にされることが多いです。

また、特定の車種を多く保有する企業や自衛隊などでは、耐用年数に達した車両が予防的に廃車として保有されたり、部品取りとして利用されることがあります。たとえば、自衛隊の73式小型トラックは部品取り車としてその役割を果たしています。警察のパトロールカーでも走行不能となった車両が部品取りとして保管され、部品がなくなり次第解体されることが一般的です。

鉄道車両の部品取り

鉄道車両の場合、別の鉄道事業者が中古車として購入した際、技術革新により生産が終了した部品を確保するために、部品取り用の車両を同時に購入することがあります。また、動態保存を行う際、特に歴史的な車両の場合、一部の車両を部品取りとして廃車することもあります。

例えば、蒸気機関車の場合、故障した動態保存車両の修理のために、静態保存状態の車両から部品を調達することが多くなります。こうした実例は少なくなく、同様の方法で他の鉄道車両でも部品取りが行われています。

航空機の部品取り

航空機の場合も、部品取りが行われます。中古機や事故機の中には、部品として再使用されるものも多く、特に主要構造物やアビオニクスなどが対象となります。これらは主に「飛行機の墓場」として知られる、広大な砂漠地帯に保管され、必要な部品が売却されることが一般的です。特定の事例としては、コンコルドや事故機の部品などが他機に流用されています。軍用機でも共食い整備が行われ、必要な部品が他機から取り外されることがしばしばあります。

電化製品や玩具における部品取り

パソコンや家電製品においても部品取りが実施されており、自作や修理のためにジャンク品から必要なパーツを取り出すことがあります。特に、パソコンは部品の入手が容易で、様々なメーカーのパーツが相互に使用されることが多いです。また、玩具ビジネスでは故障した製品から部品を取り出して修理する例もあります。特に、SONYの旧型AIBOでは、故障機から必要な部品を取り出して再利用する取り組みが行われています。

結論

このように、部品取りは多くの工業製品において余剰部品を有効活用し、コスト削減やメンテナンスの効率化に寄与しています。

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