八尋史朗

八尋 史朗（やひろ しろう）

1968年8月27日、福岡県糟屋郡に生まれる。日本の元プロボクサーであり、日本ライトフライ級およびOPBF東洋太平洋ジュニアフライ級の元王者。プロキャリアを通じて世界王座に3度挑戦した。

ボクシングとの出会いからプロへ

幼い頃から具志堅用高氏に強い憧れを抱き、プロボクサーを志した。アマチュアでは東福岡高校に進学し、モスキート級で福岡県大会優勝、インターハイではベスト8の成績を収めた。卒業後、立命館大学に進学するも、1年で大学を後にし、上京して名門・帝拳ジムの門を叩いた。

1989年5月27日、プロのリングに上がる。デビュー戦では初回KO勝利を飾り、鮮烈なスタートを切った。同年12月には東日本ジュニアフライ級（現:ライトフライ級）新人王となり、翌1990年2月には全日本同級新人王にも輝くなど、その才能を早くから開花させた。

日本王座獲得、そして初の世界挑戦

プロ転向から3年、1992年3月10日に初の日本タイトルマッチを迎える。世界挑戦経験者である平野公夫氏と空位の日本ジュニアフライ級王座を懸けて戦い、10回判定勝ちを収め、見事チャンピオンとなった。この王座を2度防衛した後、1993年4月15日付でタイトルを返上し、世界へと視線を向けた。

同年10月21日、プロ無敗のまま世界初挑戦の機会を得る。相手は、かつて憧れの具志堅氏が保持していたWBA世界ジュニアフライ級王座に君臨するレオ・ガメス氏（ベネズエラ）だった。クリーンヒットを奪うなど善戦する場面もあったが、9回TKOで敗れ、悲願の世界王座獲得はならなかった。

東洋太平洋王座獲得と二度の世界再挑戦

初の世界挑戦失敗後、1994年には日本フライ級王者とのノンタイトル戦で判定負けを喫し、この結果により世界ランキングから一時的に姿を消すことになった。

しかし、再起を懸け、1995年10月9日にはOPBF東洋太平洋ジュニアフライ級王座決定戦に臨む。相手は韓国の強敵、楊相益氏。終始相手のインファイトに苦しめられる展開となったが、判定までもつれ込んだ末、2-1のスプリットデシジョンで辛くも勝利し、東洋太平洋王座を獲得した。この勝利で世界ランクへの復帰は果たしたが、試合内容は厳しいもので、解説者からは明確な差が開いていたとの指摘や、観客からのブーイングも起こるなど、世界再挑戦へ向け課題を残す一戦となった。

翌年2月には引き分けで初防衛を果たす。そして同年6月、再び世界王座を目指すために東洋太平洋タイトルを返上した。

1996年8月10日、3年ぶりに世界挑戦のチャンスが巡ってくる。今回はWBC世界ジュニアフライ級王者サマン・ソーチャトロン氏（タイ）の待つ敵地タイへの遠征となった。激しい戦いとなったが、9回に負傷によるTKO負けを喫し、悲願の世界王座獲得はまたしても叶わなかった。

1998年3月8日、横浜にて、再びサマン・ソーチャトロン氏への挑戦が実現する。しかし、前回の雪辱を果たすことは叶わず、わずか4回でTKO負けを喫し、3度目の世界挑戦も実らなかった。

フライ級転向と引退

サマン戦での敗戦後、1年半以上のブランクを経てリングに復帰。階級をフライ級に上げ、再び日本王座からの再起を目指した。

2001年10月15日、日本フライ級王者坂田健史氏とのタイトルマッチに挑む。当時21歳の若き王者相手にベテランらしい戦いぶりを見せたが、9回TKOで敗れた。この試合が現役最後のリングとなった。

現役引退後、故郷である福岡県糟屋郡に『YAHIRO BOXING CLUB』を開設。代表として、地域のボクシング振興や後進の育成に力を注いでいる。

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