八戸地域大規模断水事故

八戸地域大規模断水事故とは

2009年1月1日から6日にかけて、青森県八戸市とその周辺の8市町で発生した大規模な断水事故です。この事故により、最大で92,600世帯、238,000人もの人々が断水の影響を受けました。原因は、八戸市を流れる馬淵川から浄水場へ水を送る導水管の破損による漏水でした。この事故は、水道事業体の連携不足が招いた人災とも言えるでしょう。

事故の概要

2009年1月1日、八戸市を始めとする8つの市町（おいらせ町、南部町、五戸町、三戸町、六戸町、階上町、岩手県洋野町）で大規模な断水が発生しました。この断水は、最大で92,600世帯、238,000人もの人々に影響を及ぼし、生活用水の確保が困難になるという深刻な事態を引き起こしました。

直接的な原因は、馬淵川から白山浄水場へ水を送る導水管の破損による漏水です。この導水管の破損により浄水場への水の供給が滞り、浄水処理が停止しました。この背景には、青森県と八戸圏域水道企業団との間での調整不足があったとされています。

断水発生後、各地域には54箇所に給水車が派遣され、青森県は自衛隊に災害派遣を要請するなど、事態の収束に向けて様々な対策が講じられました。断水は1月6日早朝にようやく解消されました。

事故の経緯と経過

1月1日早朝: 八戸市坂牛で、馬淵川から白山浄水場へ水を送る導水管が破損。浄水場への水の流入量が低下し、浄水ポンプが停止。
1月1日正午過ぎ: 八戸圏域水道企業団が、マスメディアを通して断水について発表。その後、白山配水低区系から順次断水。
1月1日18時: 白山浄水場からの水の供給が完全に停止。蟹沢浄水場と三島浄水場の水系は無事だったため、一部地域は断水を免れる。
1月1日午後4時以降: 八戸市、おいらせ町、五戸町、六戸町、南部町、三戸町、階上町の92,600世帯、238,000人が断水。各地域に給水車が配備。
1月1日午後8時15分: 青森県が陸上自衛隊第9師団に災害派遣を要請。
1月2日午前10時: 破損した導水管の応急復旧工事が完了し、馬淵川からの取水作業を開始。
1月2日午後9時30分: 白山浄水場からの浄水処理を再開。
1月3日: 白山浄水場に隣接する白山配水池から送・配水を開始。
1月4日午前6時: 白山浄水場から全ての配水地への配水が可能になる。しかし、同日午後4時、水道水の需要過剰により白山配水地の水位が異常低下。八戸市南高台地区への水道水の流入が停止。八戸市、階上町、岩手県洋野町の一部が再び断水。
1月5日: 水道供給を安定させるため、午前10時から午後4時まで白山配水池からの減圧給水措置を実施。同日午後10時、南高台・大山系への配水作業を開始。
1月6日早朝4時: 全域で通水を完了し、断水が解消。

事故調査委員会

2009年1月5日、八戸圏域水道企業団は、導水管漏水事故調査委員会を設置しました。委員には、八戸工業大学の福士憲一教授、武蔵工業大学（現東京都市大学）の長岡裕教授、日本水道協会の田口靖工務部長、元八戸圏域水道企業団工務部長の細越勇氏などが名を連ねました。

断水事故の影響

この大規模な断水事故は、地域社会に様々な影響を及ぼしました。

初詣客の減少
ホテル、飲食店、小売店の臨時休業
ポリタンク、ミネラルウォーターの売り切れ
新年祝賀会の中止
断水による飲酒運転事故（湧き水を汲みに行く途中で発生）

この事故は、ライフラインである水道の重要性を改めて認識させるとともに、災害時の危機管理体制の整備が不可欠であることを示唆しました。

参考

八戸圏域水道企業団
導水事故関連ニュース デーリー東北

外部リンク

導水管漏水事故 - 八戸圏域水道企業団
青森県八戸市他６町における断水に伴う災害派遣について - 防衛省

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