八日市飛行場

八日市飛行場の歴史

八日市飛行場（ようかいちひこうじょう）は、滋賀県神崎郡八日市町沖野ヶ原にかつて存在した大日本帝国陸軍の軍用飛行場です。この飛行場は、民間飛行場の発祥地としても知られています。

前身の民間飛行場

その起源は、滋賀県愛知郡八木荘村（現在の愛荘町島川）の呉服商、荻田常三郎の活動に遡ります。彼はフランスの飛行学校に留学し、1914年9月に自らの故郷である八木荘村までの飛行計画を立てました。荻田は町長や地域の有力者の支援を受け、同年10月に沖野ヶ原で臨時飛行場を整備し、実際にその地を飛行場として利用することを決めました。
この飛行により、「翦風飛行学校」の設立と本格的な民間飛行場の建設が決定されたことが、この飛行場の歴史のスタートとなりました。

飛行場の建設と発展

それから数ヶ月後の1915年1月、荻田は深草練兵場からの飛行中に墜落死してしまいました。その後も八日市町の町民たちは飛行場事業を続け、同年4月に造成作業を開始しました。この頃、財政的な負担を町議会議員が連帯責任で負うことになり、後には町民にその負担を求める問題に発展しました。6月には飛行場が無事に完成し、その後、荻田の協力者である実業家の熊木九兵衛が機体の復元を進め、「第二翦風号」と名付けられた飛行機の試験飛行が行われました。

陸軍航空部隊の誘致計画

飛行場の利用が限定的だったため、陸軍航空部隊を誘致しようという計画が持ち上がります。町民大会が開催され、そこで熊木九兵衛は引き続き民間飛行場としての運営を主張しました。その後、ナイルスというパイロットが招聘され、飛行訓練が行われましたが、不幸な事故で命を落としてしまいました。
この事故を受けて、八日市町は陸軍との連携を強化することを決意し、広大な土地を確保するための買収を行いました。2年後の1920年には「航空第3大隊」が結成され、飛行場が軍用施設として使用されることが正式に決定しました。

飛行場の後の歴史

1922年には八日市飛行場と改称され、その後も様々な航空部隊が駐屯しました。特に、太平洋戦争中には飛行場が拡張され、重要な軍事基地となりました。しかし、戦争の終焉と共に飛行場は米軍に引き渡され、施設は解体されていきました。土地の一部は元の地主に返還され、残りは引揚者への農地として使用されました。
飽くまで歴史を持ち続けた八日市飛行場は、31年でその幕を閉じ、現在では跡地に残る記念碑や施設の遺構が当時の面影を残しています。

今後の発展

近年になって、飛行場の跡地から発見された航空機のエンジンも取り上げられ、その保存が進められています。また、戦後は滋賀県に買い上げられ、跡地は「びわ湖こどもの国」として利用されています。

この飛行場は過去に重要な役割を果たしており、その歴史を辿ることは地域の文化や戦争の歴史を理解する上でも大変意義のあることです。

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