八木城 (安芸国)

八木城は、現在の広島県広島市安佐南区八木にあった日本の城です。太田川西岸の比高55mの丘陵上に築かれました。

沿革

承久3年（1221年）の承久の乱で活躍した香川経景が、その功績により安芸国八木を与えられ、その子である香川景光が安芸国に移住して八木城を築城したと伝えられています。景光以降、安景、清景、行景、遠景、景春、景信、師景、方景、吉景、行景、元景、光景と十三代にわたり香川氏が居城としました。香川氏は安芸守護であった武田氏の重臣として活躍しました。

しかし、永正14年（1517年）の有田中井手の戦いにおいて、安芸武田氏の当主であった武田元繁や、その傘下であった熊谷氏の当主熊谷元直が、毛利元就と宮庄経友が率いる毛利・吉川連合軍に敗北し討ち死にしました。当時の香川氏の当主であった香川行景は、主君の仇を討てないことを無念とし、敗残兵をまとめ、己斐師道とともに突撃し討ち死にしました。

元繁の死後、安芸武田氏は内部抗争が頻発するようになり、八木城もその混乱に巻き込まれました。同じく武田氏の重臣であった品川左京亮の攻撃を受けています。その後、香川光景らは毛利元就に従い、八木城は毛利氏の勢力下に入り、その居城として栄えました。しかし、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いで毛利氏が敗北した結果、防長移封に従い、八木城は廃城となりました。

概要

八木城は、丘陵上に築かれた城で、城山の北部と西部は現在住宅地となっており、城全体の構造は不明な点が多く残っています。現在確認できるのは、山頂部の郭群と三つの郭群です。城跡には、香川氏の祖である鎌倉景正を祀る権五郎神社があります。この権五郎神社は、正徳2年（1712年）に香川景継が京都から訪れて修復されました。江戸時代末期には、岩国藩の重臣であった香川景晃が、毎年5月5日の祭礼に家臣を代理として出席させていました。

城跡の西側の麓には「土居」という地名が残っており、この周辺に香川氏の居館があったと考えられています。その付近には、香川氏の墓所と伝えられる場所も残っています。八木城の対岸には恵下山城、地蔵堂山城があり、遠くには熊谷氏の本拠地であった三入高松城を望むことができます。

八木城は、香川氏の歴史と、安芸国の戦国時代の動乱を伝える貴重な史跡です。

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