三入高松城

三入高松城は、現在の広島県広島市安佐北区可部に位置する山城で、別名高松城とも呼ばれています。この城跡は、「熊谷氏の遺跡（伊勢が坪城跡・高松城跡・土居屋敷跡・菩提所観音寺跡）」として、広島県の史跡に指定されています。

歴史

三入高松城は、安芸国三入荘を領地とした熊谷氏の居城として築かれました。熊谷氏は、1221年の承久の乱での戦功により安芸国に入り、当初は三入荘の北端に位置する伊勢ヶ坪城を居城としていました。しかし、戦乱の時代が深まるにつれて、平坦な場所にある伊勢ヶ坪城の防備に不安を感じた当時の当主、熊谷直経が、より防御に適した急峻な高松山に新たに城を築いたのが、三入高松城の始まりとされています。ただし、築城時期については応永年間（1394年-1428年）とする説もあり、正確な年代ははっきりしていません。

戦国時代に入ると、熊谷氏は当初、安芸武田氏に臣従していましたが、熊谷信直の時代になると領土問題を巡る争いが起こり、武田氏から離反しました。天文2年（1533年）には、信直は毛利元就と和睦し、以後、毛利氏の重要な家臣として活躍しました。同年には、熊谷氏の旧主である安芸武田氏の武田光和による攻撃を受けましたが、三入高松城は落城することなく、その高い防御力を示しました。

1591年に広島城が完成すると、熊谷氏も城下に移住しましたが、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの後、熊谷氏は毛利氏の防長移封に従い安芸国を離れるまで、三入高松城は熊谷氏の居城としての役割を果たしました。城の北麓には、熊谷高直が築いたとされる熊谷氏の居館「土居屋敷」の跡が残っています。

1615年、江戸幕府による一国一城令により三入高松城は破却され、多くの遺構が失われました。

構造

城が築かれた高松山は、紡錘形をした急峻な山で、標高は339メートルです。山頂からは、南方に安芸香川氏の八木城や玖村氏の恵下山城、遠くには安芸武田氏の佐東銀[[山城]]を望むことができます。城跡には、井戸跡や馬場跡、わずかな石垣が残っており、本丸の土塁跡などを確認することができます。城の前方には川が外堀として流れ、山自体も非常に険しい、典型的な山城の構造を持っています。

三入高松城跡は、1951年（昭和26年）4月6日に広島県の史跡に指定されましたが、1970年（昭和45年）1月30日の追加指定と名称変更により、伊勢が坪城、土居屋敷、菩提所観音寺跡と合わせて「熊谷氏の遺跡」として一括して指定されることになりました。

現在、高松山では毎年5月末の土日に、山腹に大文字を点火し献灯する行事が行われています。これは、山頂にある愛宕神社の春祭りとして行われているもので、可部の地が京都のように山と川に囲まれた盆地であることから、京都の五山送り火を模して始まったと言われています。

周辺情報

日本の城一覧
佐東銀[[山城]]
桜尾城
草津城
己斐城
仁保城
府中出張城
矢野城
広島城

外部リンク

広島県の文化財「熊谷氏の遺跡」

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