八木誠 (実業家)

八木誠の人物像と経歴

八木誠（やぎ まこと）は1949年10月13日生まれの日本の実業家で、特に関西電力の元代表取締役会長として知られています。福岡市出身の彼は、福岡県立修猷館高等学校を卒業した後、1972年に京都大学工学部電気工学科を卒業しました。大学時代には、大陽日酸の吉村章太郎や大阪証券取引所社長の米田道生と同級生でした。

事業キャリアの歩み

1972年に関西電力に入社した八木は、工務部でさまざまな職務を歴任し、送変電や電力システムの事業に携わりました。彼は、工務部課長や電力システム事業本部の副事業本部長などを経て、2010年に取締役社長に就任しました。そして、2016年には取締役会長に昇進しました。彼の在任期間中には、電力業界の内部においてさまざまなプロジェクトを推進し、国内外で多大な影響を与える人物となりました。

しかし、八木は任期中に善管注意義務違反が指摘され、関西電力から生じた損害賠償請求訴訟に直面しました。この件は、彼のキャリアに暗い影を落とすことになりました。彼は2019年に臨時取締役会で退任し、その後は嘱託として関西電力に残りました。

経済界での役割

八木は関西経済連合会においても重要な役職を担っており、特に2025年日本国際博覧会担当副会長としての役割を果たしています。また、さまざまな団体にも名を連ね、電源地域振興センターの会長やや日本動力協会の副会長、日本原子力発電の取締役などを務めました。さらに、原子力発電環境整備機構の評議員にも就任し、原子力発電の環境整備に尽力しています。

金銭受領問題の発覚

八木はその名声の一方で、金銭受領や便宜供与に関する問題でも注目を集めました。財務省国税庁による調査で、彼を含む関西電力の幹部が「原発マネー」とされる約3億2千万円を受け取ったことが明らかになりました。この問題は、社会的な批判を呼び、原子力規制委員会の委員長や経済産業大臣からも厳しいコメントが寄せられました。

八木は記者会見で、受け取った金銭については「便宜は図っていない」と釈明しましたが、彼への信頼は低下しました。関西電力では、第三者委員会が設置され、彼が隠蔽を主導したとして厳しく非難されました。結果として、関西電力からは総額19億3600万円の損害賠償比例訴訟が提起されました。

法的な展開

2021年11月、八木は市民団体から刑事告発を受け、大阪地検特捜部の捜査が行われましたが、八木を含む関西電力の幹部9人は嫌疑不十分で不起訴処分となりました。これに対し、市民団体は検察審査会に審査を依頼し、2022年に特定の幹部について「起訴相当」の議決が下されましたが、最終的には再捜査の結果全員が不起訴となりました。この一連の法的手続きは非常に複雑であり、波紋を呼びました。

現在の活動と今後の展望

八木誠は現在、大阪府高槻市に住んでおり、様々な経済団体などで活動を続けています。彼のキャリアは、光と影が共存するものであり、電力業界における原子力事業の現状を映し出している存在です。今後もその動向が注目されることでしょう。

もう一度検索